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プレイングしないマネージャーは、本来の仕事をしていない。
組織の中で役職が上がっていくと、経営トップ、つまり社長から『実務を手放せ』と毎度の様に言われる。マネジメントに専念しろという訳だ。しかし、未だにマネジメントに専念する1日のイメージが湧かない。実際部長職になった今でも、普通に実務をやっている。いわゆる万年プレイングマネージャーだ。仮に私から、いわゆる『実務』を完全に引き剥がしたら、どんな仕事をするのだろう…
▪️報告を聞くのが、マネジメントの基本
マネジメントに専念するからには、メンバーの状況を把握せねばなるまい。10人の部下全員から毎朝一人ひとり丁寧に報告を受ける。昨日あった事。今日の予定。クライアントの状況…。
うん、面白くない。
これを聞いたからといって、私とメンバー当人に何のメリットがあるのだろう?困った事や相談があれば、その都度言えばいいではないか…。いや待て。アドバイスが出来るではないか。何せ私は、誰よりも実務に精通している。
アレ?でも実務やらなかったらアドバイスできないな…
▪️管理業務が、マネジメントのメインタスク
日中は、報告用の売上数値資料の作成だ。経理システムからデータをDLして、各クライアントの売上や粗利を確認する。確認するプロセスで、各クライアントの数字の傾向が把握できる。そうすれば、経営会議でツッコミを受けた時、澱みなく答える事ができるだろう…
メリットそれだけ?
私が売上数値を把握したところで、売上が上がると言うのだろうか?私にできる事は、メンバーに対して「売上を上げろ」と命令するくらいだ。具体的な指示をすることはもちろん出来ない。何せ、実務を知らないのだから…
▪️人材管理こそ、マネジメントの真骨頂
さて、夕刻は面談か。今流行りの1on1ミーティングというやつだ。これは得意だ。なんといっても私には実務経験で培った傾聴力がある。なになに?ほう…会社の人間関係で悩んでる?ハア…あの人全然働かない?うんうん。あの人は絶対サイコパス?
飲み屋で話せ。
これを聞いたところで、お互い何のメリットもない。これで心理的安全性とやらが担保できるというなら、むしろ不安に慄き仕事に邁進して欲しい。ここは仕事をする場だ。なので仕事に集中して下さい。そう、あなたの話を聞いたところで、売上が増える訳でもなければ、クライアントが喜ぶ訳でもない。今私は、本来の仕事をしていないのだ…
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▪️マネジメントは、本来の仕事ではない
プレイングマネージャーという言葉には、ネガティブな響きがある。本来のマネジメント業務に専念出来ないというニュアンスがあるからだ。しかし、マネジメントに専念する事の意義を説明出来る人は、ほぼいない。何となく、部長とは、課長とは、マネージャーとはこうあるべきと言ってるだけだ。
会社組織の目的は、良質な商品、サービスを提供して利潤を得る事だ。その商品、サービスに専念して、特化する事でビジネスは成り立っている。
専念すべきは、マネジメントではないのだ。
ラーメン屋なら美味しいラーメンを。広告屋なら人が集まる広告を作る事に、社員全員が全振りすればいい。
何故ならそれが、本来の仕事だ。
マネジメントなど、ついでにやればいいのだ。
いっその事、全社員に『係』を与えればいい。
『売上管理係』
『目標管理係』
『評価面談係』
『成長の機会を与える係』
『報告をしっかり聞く係』
『規律の乱れを指摘する係』
『皆んなの予定を確認する係』
『ミーティングでいい事を言う係』
『商談に同行して、ただ隣にいる係』
『トラブルの際、先方に謝罪に行く係』
『発生した損金を、バレないように処理する係』
『それがバレた際、自らが負うリスクに向き合う係』
『その可能性に怯えつつ、解決しましたと社長に報告する係』
ちょっと多いな…
まとめてみるか。
『マネジメント係』
うん、これでいい。
マネジメントなど、単なる係だ。
少なくとも、私にとって…
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