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部下の育成とか成長やらを、大真面目に話し合う時間がとても虚しい
マネジメントの定義は様々だが「部下の育成」「部下の成長」を思い浮かべる人は多いだろう。実際の現場でも育成と成長はクローズアップされがちだ。まあ、取り上げたくなる気持ちはわかる。組織にとって人材の質は何より重要だ。とは言え、育成や成長を議題にして資料を作り、意見を募り、盛大なミーティングを繰り返す事に対しては、途方もない虚しさを感じる。今現在参加しているリモートミーティングも、実際ほとんど話しを聞いてはいない。他の人達はどうかというと、トップも含め少なくとも見た感じは大真面目に議論している。
『私だけが、おかしいのだろうか…?』
いや、おかしいのは私以外、何なら世の中の方だ。
虚しさの正体を、整理してみよう。
『現に、育成してもらって無いし』
まず私自身、誰かに育成してもらったという感覚がない。このミーティングに参加してる人々は「いや〜若い頃はあの人に『育成』してもらったよ〜」と言えるほどの体験があるのだろうか?多分ない。自分で育ったはずだ。
『育ったところで、辞めるでしょ』
組織は二言目には「優秀な人材を育成する」というが矛盾にも程がある。上記の通り、優秀な人材は自分で育つ。そして優秀であればある程、次の成長を求めて職場を変える。いままでさんざん見てきたではないか。つまり育て損。人材活用の基本はローテーションだ。
『そもそも、大人が成長って何?』
この人達は『大人の成長とは、出来なかった事が出来るようになる事』と良く言っているが、何の定義にもなっていない。出来るようになるんだから、その前は出来ないのは当然だ。定義が曖昧な言葉を、目的や議題にしないほうがいい。
『想定外って、制御できないでしょ?』
それでも人間が育成される要素があるとすれば、それは「想定外の出来事」だ。分かりやすい例だとトラブルやクレームへの対処や、納期が極端に短い突発の依頼など。これらを自分で乗り越える事で確かに成長するが、想定外の状況を意図的につくる事はできない。
『要は結果論、後付けですよね〜』
よく考えてみて欲しい。あなた達は「成長」を目的に仕事をしてたのでは無いだろう。上記の様な想定外の出来事に向き合う。クライアントだけでなく、上司、部下、発注先など様々な方面に対してベストな対応を考える。時には影響を受ける人との出会いもあるだろう。
あなたの「成長」は、巡り合わせ✖️自身の行動の副産物であり、単なる結果論だ。もう、ある意味たまたまと言っていい。たまたまそうなった事に後付けで理屈づけして、再現性を求めるなど時間の無駄ではないか…
「では、部長からも、一言お願いします」
えっ?ワ、ワシかえ?
しまった…全然話しを聞いてなかった。
えーと、今日の議題は「部下がミスをした時の対応」?
え〜と…
「そうですね…皆さんの意見の通り、部下がミスをした時は、育成の絶好の機会になり得るでしょう。厳しく指導するのか、優しくアドバイスするか…決める事ができるのはあなた達だけです。そう、部下は上司を選べません。部下が成長するか否か…それはあなた達の選択にかかっていると言っても過言では無いのです…!」
ふう、危なかった。
我ながらナイスなアドリブ。
若い頃にはこんな芸当はとても出来なかった。
これはもちろん、育成されたものでは無い。
これが私の成長だ。
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