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#童話
【母の遺作】 すすきの村で その4
卒業生を送る会で祭り
校庭の桃の花も、さきほこって、いいにおいをさせていた。
五年生という学年も、もう半月ほどで、終了となる。
市子と、マリ子は“卒業生を送る会“で“祭り“をしようと、走りまわっていた。担任の八木先生も、校長先生も賛成して、協力するといっていた。
でも、心配なのは、今だに、一週間に一度、それも、職員室にしか、登校してこられない八重子を、みんなのわのなかにいれられるか、どう
【母の遺作】 すすきの村で その1
友達になったしるしに三百円… ひとりっ子のマリ子は、おとなしくて、すごく人みしりする性格だった。
それが、五年生の二学期に、町の団地から田んぼの中の一軒家に引越してから、すこしずつかわってきた。
きっかけは、隣りの五年二組の麻子だった。
まだ友達ができなくて、 一人で下校してきたマリ子を、麻子は、土手のすすきの中にねころがって、 まちぶせしていた。
「マリちゃん、いい服着てるねえー、あんたっ
【母の遺作】 すすきの村で その3
泣け、泣け、おもいつきり泣け「八重子ちゃーん、八木先生の手紙、持ってきたよ」
市子は、八重子の家にとびこんだ。
「いつも悪いねえ、市子ちゃん。八重子、ちょっと風邪ひいたらしくて…、熱があるのよ。ねかせてるんだけど、あがっていってくれる」
八重子のお母さんが、家の奥からでてきた。
「うん。おばさん。その前に教えてくれる?今、伸一兄さんと正吉じいさんにきいたけど、八重子ちゃん、祭りがすきだって?」
【母の遺作】 すすきの村で その2
モヘヤのセーターについたよごれ 台風が、かすってすぎた月曜の朝急に、気温が、さがった。
マリ子は、父さんに買ってもらったばかりの白いセーターをだす。
「あら、それは、おでかけ用じゃない。だめよ、学校なんかに着ていっちゃ」
母さんは、いったけど、マリ子には、みんなに見せびらかしてやりたい、気持ちの方が、ずうーっと強い。
母さんの声なんて、静こえないふりで、さっさと、 着がえをすませた。
「マ
バレンタインデーはおすき?その2
パンパカパーン、今日は年に一度の……
母さんが、台所から、さけんでいる。
「遅刻するわようー。早く起きなさーい!」
2段ベッドの下に寝ている洋子は、首を横にまわして、机の横の布袋を見る。ポコッとふくれた布袋の底には、つられて買ってしまったチョコが、ひっそりとしまってある。
「どうしたのー、いそいでよー。母さん、手がはなせないのよー!」
コーヒーの香りといっしょに、母さんの声が、おそってき
バレンタインデーはおすき?その1
ギリチョコって、なあに
北風が、さあーっと、商店街を、ふきぬけていった。
「洋子、バレンタインデーは、おすき?」
ゆいちゃんが、調理実習用のじゃがいもの入った袋を、ブランブランさせながら、きいた。
「わかんない。バレンタインのチョコなんか、いっぺんも買ったことないんだもん」
「だろうと思った。洋子は、ひっこみじあんんだから……。買おう、買おう。こういうのは、タイミング!」
ゆいちゃ
【母の遺作】パラシュートにのって
【母の残したメモより】
長女と初めて試みた「つぎたし話」です。打ち合わせなしで、各自、自分の書きたい方向に話を展開し、相手に「どうだ、次はどうする?」とバトンタッチしていきました。
もちろん、おさないところがあるようですが、二年生の子どもの興味、話の展開ぶりが見えて、おもしろく感じました。
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※太字が子ども(私)、細字が母が書いたものです。
ゆうこちゃんのたからものはね、