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1.1kmマラソン


走るの大好き。


小学生の時は特に、狂ったように走っていました。

スーパーの中を駆け回ったり。(迷惑)むしゃくしゃして家の周りを全力疾走したり。(不審者)その運動能力を見込まれて出場した駅伝では、ペース配分をミスって思いっきり順位を落としました。(ドンマイ)

そんなわけで、走るの大好き人間だった僕ですが、大学に入ったあたりから殆ど運動をしなくなってしまったのです。走らない人です。ただの人です。

一方、娘は先日5歳の誕生日を迎えたのですが。もうこれは、遺伝なのでしょうね。体力が異次元。家でも外でも移動は基本かけ足。

先日も、公園を2つはしごしたのですが、一向に疲れた様子を見せません。

時刻は11時過ぎ。お腹も減ったし、そろそろ帰りたい。僕は提案しました。

「この公園さ、ちょうど外周がコースになってるから、一緒に走ろうよ!」

我ながらナイス提案。

十数年のブランクがあるとは言え、元駅伝ランナーの僕。5歳のマラソンに付き合うなんて余裕。早々に体力が尽きた娘は、すぐ帰ろうと言い出すだろう。

「良いねー!走ろう!」

娘もやる気満々。

しめしめと思った僕は、所々スマホで娘を撮影しながら走り始めました。

娘の小さな足がチャッチャッと地面を踏みしめながらゆっくりした速度で走っていきます。いやぁ、たまには景色を観ながら運動するのも良いもんだな。

コースは、約700m。

ちょうど半分過ぎた頃に気づきます。


キツくね?


いや!思ったよりキツい!ジワジワ足がダルくなってくる!

娘は隣でランランと走っていますが、僕はもうフラフラ。日頃の運動不足がたたっています。過去の栄光、全く役に立たない。ブランクこそ真実。

なんとか1周700mのコースを走り終えて、そろそろ帰ろうかとしていた時、娘が公園の案内図を見つけました。

「これなーに?」

「あぁ、これは地図だね。さっきのコースがこっち。700mも走ったんだねぇ!頑張ったよ!あ、もうひとつコースがあるね。こっちは400メ……」

ハッとしました。しかし、時すでに大幅に遅し。

「じゃぁ、こっちも走ろう!いくよ!?」


帰ろう!?


もう足が限界。しかし、娘の前では弱音なんて吐けません。娘と一緒にチャッチャッと地面を踏みしめながら、ゆっくり走り始めました。

だんだん慣れてきたのか、じんわり汗をかいた娘が、嬉々として提案。

「ねぇ!ここからスキップするよ!はい!はい!」


はいっ!はぁいぃぃぃ!!あぁぁぁ!


もう殆ど拷問です。なんだこのトレーナー(娘)は!追い込み方を熟知している!

その後も、スキップしたり、木の棒でリレーしながら、合計1.1kmを完走。やったぁ!やったぞぉぉ!!

そして、娘のおねだりでアイスを購入。ゆったりした後、ようやく自転車に乗せることに成功しました。

発進した直後。まだまだ興奮冷めやらぬ娘は、後ろの席から笑顔でリクエストしてきました。

「ねぇねぇ。ご飯食べたらまた公園行こうね?良いでしょ?」


ウン。イイヨ。

ハシルノダイスキ。


……ハッ!!

あれ?いやいや!まてまて!

好きだけど限界はあるのよ!

完全にランナーズハイになってました。

冷静に考えると、自転車をこぐのすら辛くなっていた僕。流石にやんわりお断り。

娘の体力と反比例して、失われていく僕の持久力。運動しなきゃなと、反省しきりなのでした。


【あとがき】
帰りにスーパーに寄ると「娘ちゃん、やっぱり疲れた。立てないかも……。」と嘆き始めた娘。
おお。これが限界か!娘の限界が分かったぞ!
感動も束の間、グネングネンの娘を引っ張って、何とか買い物を済ませて、ダッシュで帰宅。
一緒にハンバーガーを作って食べて、夕食までは遊んだりゴロゴロしたりしていました。
そして、18時ごろ。夕食の支度を始めようとした時、娘がハッとして訴えてきました。

「ねぇ!公園は!?」

限界は!?

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