自分を削る日本のおもてなし文化「スイッチ・オフのすすめ」
何度か外国を旅行して感じたこと。
それは日本人は生真面目で、几帳面すぎるということ。
日本に生まれて日本人に育てられ日本人に囲まれた環境によって、いつの間にかきっちりしいの人格が形成される。
もちろん遺伝子も関与しているだろう。
外国から見た日本人は、清潔で礼儀正しく時間に正確らしい。
我々は自覚なく、緊張感の中で暮らしている。
ずいぶん前だが、アメリカから来た留学生と話す機会があった。
彼は「お店に入ると、みんないらっしゃいませと頭を下げるのに驚いた」と口にしていた。
オリンピック招致のプレゼンで、滝川クリステルさんが「おもてなし」の素晴らしさを巧みにアピールして話題になった。
「おもてなし」とは、日本特有の文化で相手が何を求めているかを想像し、行動に移すことを指す。
敏感に相手の気持ちを察して、求められているサービスを提供するということだ。
ちなみに歌人の俵万智さんの息子さんは、
おもてなしの本質を突いたようだ。
日本は空気が支配する国で、察する能力が低いと「気が利かない」「自分勝手」「マイペース」と後ろ指をさされやすい。
令和の今でも日本は、相変わらずの村社会なのだろう。
しかし、これだけ生きづらい状況の中で暮らしているのだから、気を使いすぎるのはやめようと思うようになった。
僕は、大半の人に「気を使う人」という印象を与えているようで、反対に言うと相手にも気を使わせているわけだ。
この前、たくさんの人が集まる場所へ赴く機会があった。
マンツーマンの関係を好む僕は、大勢の人が集まる環境が苦手だ。
いつもなら、そこでも率先して話を振ったり、聞き手に回ったりして場になじもうとする。
しかしもう四十路を過ぎて、そういうのに疲れてしまった。
もういいやと思ったのだ。
そこで、スイッチをオフにして、ぼうっとすることにした。
すると、とても楽で時折誰かが話を振ってくれたり、気楽な時間が続いた。
スイッチをオフると、せかせか気を使っている感がなくなるので、相手もリラックスするのだろう。
背筋を伸ばさずに椅子に体重をかけて、だらっと座る。
そしてぼうっとする。
これがとても楽だったのだ。
おかげでその日は擦り減らず、楽しく過ごせた。
日々の暮らしで感じるのだが、多くの人が過度な緊張の中で集中力を発揮しながら肩肘をはって生きている。
今の日本に失敗を許されない空気が作られていることも関係しているだろう。
だがそれは自分を削ることにも繋がり、どんどん疲労が溜まっていく要因にもなる。
スイッチをオフる時間を意図的に設けることは重要だ。
最近、スイッチオンの時間をできるだけ減らして、オフる時間を増やしている。
人生はまだまだ長いし、容赦なく続いていく。
常にスイッチを入れていては、とうてい持たない。
みなさんも、できるだけオフる時間を増やしていただけると嬉しい。
オフにして、自然に笑える時間を増やしましょう。