「場面緘黙で声が出ないのはなぜ?―生物学的要因とその仕組み」
はじめに
私はHSP(Highly Sensitive Person)の特徴を持ち、幼少期に場面緘黙を経験したマメと申します☺︎
また、息子はHSC(Highly Sensitive Child)の気質を持ちながら、自閉スペクトラム症に多く見られる感覚処理障害(SPD)を併せ持っています。この記事では、私たち親子が体験した場面緘黙について、生物学的な視点からその仕組みを解説します。
1. 扁桃体の役割とストレス反応
扁桃体は、脳の中で恐怖や不安を感じるときに働く部分です。場面緘黙の子どもは、特定の場面で強いストレスを感じたときに、この扁桃体が過剰に反応し、『話す』という行動を抑制してしまいます。
幼少期、園の先生から名前を呼ばれるだけで心臓がドキドキし、返事をしようとする前に身体が硬直してしまったことを覚えています。特に苦手な活動が多かった園では、失敗を避けるために目立たないよう行動することを常に意識していました。この無意識の反応こそ、脳が『危険』と認識していたからなのだと、後に気づきました。
2. 交感神経系と声帯の関係
ストレスや恐怖を感じたとき、体内の交感神経が活性化し、筋肉が緊張します。このとき、声を出すための声帯も硬直し、声が出なくなることがあります。
幼少期、緘黙だった私は、クラスで発言を求められる場面で何度もこの感覚を経験しました。そして成人後、某企業の面接で5人の面接官に囲まれたとき、幼い頃と同じような緊張感に襲われ、声が出なくなったのです。日常では問題なく話せていたのに、特別な状況では身体が再び生理的に反応してしまいました。この現象は決して意志の問題ではなく、身体がストレスに対処しようとする自然な反応なのです。
3. 感覚処理障害(SPD)の影響
感覚処理障害(Sensory Processing Disorder)は、外部からの刺激を処理する脳の働きに偏りがある状態を指します。音や光、周囲の視線などの刺激を過剰に感じ取り、それがストレスを増幅させることがあります。
息子の場合、特に周囲の視線に過敏で、『全員が自分を見ている』と思い込む傾向がありました。これは、注目されることに対する不安と、他者の評価を必要以上に気にする心理が絡み合った結果です。こうした感覚過敏も場面緘黙の重要な要因となっています。
4. 緘黙の生物学的要因に関する研究紹介
研究では、場面緘黙の子どもたちの脳内で『扁桃体』の過剰な活動が確認されています。また、ストレスにより声を出す神経回路が一時的に遮断されるケースも報告されています。
例えば、Kagan博士の研究によると、場面緘黙の子どもたちは、恐怖反応が他の子どもたちよりも強い傾向があるそうです。これは、私たちが普段見逃しがちな、子どもたちの心の奥底で起きている現象を理解する上で大きな手がかりとなります。
5. 緘黙への理解を深めるための知識
緘黙の子どもたちは、自分の意志で『話さない』のではなく、『話せない』状態にあるという理解が必要です。周囲が無理に声を出させようとするのではなく、安心感を育む環境を整えることが大切です。
息子が小学校に通い始めた頃、困難を感じた際に使えるようにヘルプカードを用意しました。片面が黄色、もう片面が赤色のラミネート加工を施したカードで、黄色は『困っています』、赤は『助けてほしい』を示すものでした。このカードを先生に見せることで、息子は自分の気持ちを言葉で表現しなくても意思を伝えることができました。
また、事前に家で練習を重ね、人前での活動が初めての体験にならないよう工夫したことも、彼の自信を回復させる一助となりました。学校での合理的配慮については、別の記事で詳しくお伝えする予定です。
同じような状況で悩んでおられる方に少しでも参考になることをお届けできるように継続したいと思います..!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました🙏✨
Photo taken by Luke Pennystan of Unsplash