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「人柄」で売れることの再現性について考察してみた

こんにちは、ひろんたです。
最近は開店直後にコメダ珈琲に通い、モーニングを頼むのですが、普段のコーヒーに山食パンのトーストと茹で卵(スーパーフード)がついてくるので、すんごいコスパ良いなと感動して通い詰めています。LTV増大に絶賛貢献中です。

先日こちらのnoteで触れたとおり、転職が決まりましたので、これまでお世話になったお客様へご挨拶の連絡をしていました。
するととてもありがたいことに、温かいお言葉をかけていただいたり、
メールした直後に電話をいただいて、仕事関係なしにご飯のお誘いをいただいたりと、素敵な経験をさせていただいてます。

ほんにこの言葉しか出ない。


前職の退職時も嬉しいお返事をいただいたのですが、現職の方が温度感のあるお言葉が多く、ご飯もその場で数件お誘いいただいたり(嬉しみが深い)と明らかに変化がありました。
その中で繰り返しお客様から出てきた言葉が「人柄」という単語です。
「〇〇さんの人柄で採用しました」というお返事を多くいただいたので、
なぜこの点を評価いただけたのかという点をせっかくなので振り返りたいと思います。


人柄の中身について考えてみる


「人柄でシステムを採用しました」というフレーズ、SaaS営業であればお客様から聞きたいフレーズベスト3には入ると思います。
本当にこういった言葉をかけていただけるだけでも嬉しいのに、それが何名からもいただけると普段の自分なら涙腺に効果抜群です。
(上司とのラスト1on1で号泣したので涙は枯れてしまったZE★)

涙は枯れねぇ、そう考えていた


現在は非常に冷静にメールを見返しているのですが、セットで出てくる単語として、「寄り添い」「親身」「安定感」などが出ていて、抽象化するとお客様の不安を取り除く行動に価値を感じてもらえていたのかもしれないと想像しています。中にはいなくなったら困るとまで言っていただけた方もいらして感謝しかないのですが、顧客の購買行動に何が安心感をもたらしたのかを振り返ってみたいと思います。

突き詰めるとお客様は安心をしたい


あくまでSaaSを前提にするのですが、サービスを選定するにあたってよく比較項目(≒選定基準)に挙がってくるのが、
・機能
・価格
・サポート
だと思います。
自分たちのやりたいことができるかを確認するために機能を、
目的達成のためにどれくらい支援してくれるかをみるためにサポートを、
それらが妥当な価格か、費用対効果を出せるのかを確認するために費用を、
つまるところ使用してちゃんと効果が出せるかを確認するわけです。
もちろん企業によって、どこを重視するかで差別化を行うのですが、市場が成熟してくると基本的にはコモディティ化が進み、差別化が難しくなる。
出来ることは似通い、それに伴いUIも類似し始める。そうするとお客様は何を選べば良いかわからなくなるわけで、困りごとがあって解決したいのにサービス検討をしてむしろ不安が進む、そんな状況になると想像してます。
仮に機能、価格、サポート全てが同質の状態であったとしたら差別化を行う一つの解が営業の対応だと考えましたので、何が自分や自社を特徴付けていたのか振り返りました。

安心に至った(かもしれない)行動


提案活動を振り返ると安心感を持っていただけた背景は大きく分類して、
・接触回数を増やす
・接触内容の質を高める
の2つだと思います。
接触回数は単純接触効果(ザイオンス効果)を経験則でも感じていたので、自分に時間を作ってくれる理由づくりをして回数を増やしていました。

ザイオンス効果とは、繰り返し接すると印象や好感度が高まり関心の度合いが高まるという効果です。

https://digimarl.com/tips/detail/4623/#:~:text=1%E3%81%A4%E7%9B%AE%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%8E%A5%E8%A7%A6,%E8%89%AF%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

上記の記事によると10回がピークらしいのですが、受注に至った商談は平均で2〜3回のアポイントを作っていました。
会ってもらうための理由として多用していたのが、
・個別提案資料によるポイント紹介
・固有課題ピンポイントにフォーカスしたデモの紹介
・トライアル環境の操作支援
です。特にワークフロー市場はベンダーが脅威の3〜40社越え(それだけニーズがあるということ)と競争環境のため、自社に使ってもらう時間の総量や想起率を高める、接触回数を増やして親近感(ご発注いただくのに必要な情報をご提供いただきやすくする)を得る目的で行動していました。

接触内容の質なのですが、これは一言でまとめると「個別具体化」です。
数十社とサービスを見る中では、汎用的な機能説明は刺さりません。むしろ「要は動き一緒でしょ」と飽きさせてもしまう。なので、目の前の見込み顧客が抱えている課題にピンポイントでフォーカスしたデモの紹介、操作支援による親密さの演出、個別事情を踏まえたポイントの紹介。
これらを経て、「この人はちゃんとうちのこと考えて提案してきている」、
「話がよくわかっている」と信頼感の醸成に努めます。
実際、TORiXさんの記事でも「わかってくれる営業」が求められているというデータがあるのですが、納得ですし、特にSaaSセールスに強く求められる要素なのではと考えています。

出典:https://www.torix-corp.com/blog20221108/

なぜSaaSセールスに個別対応が求められるのか


先ほど紹介した行動は、もちろん最初から行っていたわけではなく、むしろ転職当時は6ヶ月間受注が出なかったりと非常に苦戦していました。
前職ではなまじ結果を出していただけに焦り続けていたのは記憶に新しいです。
そこで上司(営業の天才、覚醒しています)から「営業として売れるようになれ」と1社目の数をこなすスタイルにまだ囚われていたため、「なぜ、1社へ複数回提案に行かぬのだ」とアドバイスをいただき、1社あたりへの行動を増やすようにしてから受注が取れはじめました。
なぜ上記により受注が生まれはじめたのか、ここにはSaaS営業ならではの背景があると思います。

数字の向こう側にお客様が見えないのではないか


SaaSベンダーでは大体THE Model型の営業体制が組まれていると思います。
乱暴ですがひらたくまとめると、「分業制」になり、ISは有効商談数、FSは受注件数・金額の数値を追います。
自身のKPI目標から逆算し行動件数を定め、その達成に向けて効率化を行う。特にベンチャーと呼ばれるような企業が多く、人的リソースも足りないもの。結果的に効率を追い求める風潮は強くならざるを得ない。
THE Modelを批判するわけではないですし、組織としての受注数最大化に向けた有効な手段と認識しているのですが、一方で定量の数値を追い求めるが故に、1日のコール件数や商談件数といった数字にこだわりはじめ、商談か条件を満たしたらトスアップ、流すための条件把握という流れ作業でお客様の体験を毀損する。
流れてくる商談の件数をこなすことが目的となり、通り一辺倒のデモをリモートで行う。お客様からすると担当が変わった上に自社の事情を踏まえない説明をされるため、活用イメージが湧かない。
こういった流れがおきやすいのではないかと想像しています。
実際にお客様にもヒアリングしてみたのですが、
「担当が変わって同じことを説明しないといけない」「他の企業は足を運んでくれない」「サポートを受けようにも問い合わせがしづらい」など、「効率化の弊害」に見える事象が起きていました。
もちろん全ての企業に足を運ぶのも、毎回提案資料を作るのも難しいですし、企業規模で一定の優先順位をつけるなどはあって然るべきです。
ただ、効率はあくまで活動量に対しての受注数を増やす手段であり、
受注は課題解決、目的達成の手段としての合意、「御社にお任せしたい」という期待の現れなので、やはりお客様の事情や背景を想像せずに機械的にこなすのは本末転倒だと思っています。
であれば、「個別対応」を繰り返せるようにしたら差別化しやすいのでは?という仮説のもと提案を変えてみるのでした。

SaaSにおいては売上は受注×更新で生まれます。受注とは『顧客からの期待』であり、更新とは『顧客からの満足』です。

出典:https://x.com/asanokoji/status/1777484120484171996
ナレッジワークCEO、麻野さんの投稿。上司と激しく同意した考えです。

なので個別対応をテンプレートにしてみた

そのため、お客様にヒアリングした事実を踏まえて、個別対応を汎化して活動してみました。
Vertical SaaSであれば、特有業界に入り込んで顧客事情、業界背景を深く把握することで業界特有のペインに対するソリューションを提供、結果的に深く刺さるという構造だと思うのですが、Horizontal SaaSでも同じことが出来ると思います。
・業界ごとのお困りごととそれに対するアンサー
・職種ごとのお困りごとそれに対するアンサー
・事業フェーズごとのお困りごとそれに対するアンサー
個別提案を幾度か繰り返していると、上記のような共通項が見出せるので、一度作った資料はテンプレートとして活用し顧客の困りごとに対して出し分けて提案をするようにしていました。

整理の仕方はいろいろあるはずですが、こんな感じかな?と

例えばワークフローであれば、
工場(業種)×ペーパーレスという課題=現場での取り回しの良さを訴求する
情シス(職種)×全社の業務効率向上という課題=使いやすさと作成権限の委譲による民主開発
急成長中(フェーズ)×業務プロセスの整備という課題=人の急増に耐えうる環境構築
などを準備しておきました。
こちらとしてはある程度、汎化して提案にはなるのですが、お客様からすると「自社の事情を汲み取り、しかも資料までスピーディに作って提案してきたぞこいつ!」という1度で2度おいしいポジションを取れるので、一定効果はあったように思います。

まとめ

これは自分への戒めとして記載するのですが、やはりお客様と相対する以上は、目の前の人のために何が出来るのか、それを考える土壌がある上で受注数を最大化するための手段を取っていくというのはSaaSに限らず大事なポイントだと学ばせてもらったように思いますし、次の職場でもそこはぶらさず、気づかせてくれた上司やお客様への感謝を忘れず精進あるのみです!


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