ダブルパンチ:ズレても楽しいフィルム写真③
新しいフィルムを装填し、再びシャッターを切る準備が整った。
心の赴くまま、写真を撮り続けようと思った。
海まで、徒歩30分。そして、おそらく景色が変わらない一本道。
撮り続けようと思ったもののすごく悩んだ。
往復1時間。
帰るのも遅くなる。途中にコンビニなど、休める場所もない。そして寒い。
なぜこの選択をしたか理由は分からないが、
心はどうしても海へと引き寄せられていた。
海へと続く道に歩道がなく、一瞬『歩行者は通れないのか?車だけか?』と考えたが、結局行ってみることにした。
途中、車の運転手に驚いた顔で見られたけれど、問題なく進むことができた。
30分歩き、やっとのことで海に辿り着いた。
そして、サーファーたちを撮った。
波に乗るサーファーの動きに合わせて、シャッターを切る瞬間を待っていた。
完璧なタイミングでシャッターを切ることはできず、波乗りサーファーを捉えることができなかった。
帰りも30分。変わらない景色の中を歩くことを考えると、少し憂鬱になった。
バスもほとんど通っていない道。
バスどころか、車もほとんど通っていなかったと思う。
駅までやっと半分くらいかなというところで、
ふと空を見上げると、いい感じの光景が広がっていた。
1時間半前の自分の判断は良かったのかどうかは、わからない。けれど、この写真たちを見ると、いい時間だったなとは言える気がする。
そして、フィルムのズレやレンズフードのつけ間違いも、フィルム写真の醍醐味のひとつだ。
それがあってこそ、予期せぬ楽しさや味わいが生まれると思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?