短歌連作「信仰の不自由」 20首

一定の拍子で進むしめやかな十数人の唱歌と踊り


拍子木に笛に太鼓に三味線にお経のようなわからない歌


毎月の儀式につどい少年の僕は太鼓を叩かされてた


祭壇の前のひとびと一斉に拍手四回 轟音となる


一階は祖父母の部屋に台所 二階まるごと大部屋の祭壇


祖父母から強制があり「しゃあない」と母は子供に強制をする


大人らの拍手や礼のしかたにも微妙な違いあって見ている


寄付金の一部で買った米、魚、白菜などが並ぶ祭壇


宴席に初老の男の声ひびく「我が我がじゃあかん」自説に必死


片腕の老婆は自己を御せず言う「飯食わせときゃおとなしくなる」


子供には読めぬ漢字が飾られてわからないまま字体がこわい



「心臓は神さまが動かしている」保健で習う不随意筋を


聖地へのバスを運転する男 子供にお菓子くれるおっちゃん


酷暑へと手渡されてく麦茶、カレー、福神漬けは普通にうまい


人類の起源は日本だと説いて「それはここだ」と木造神殿


隙あらばゲームボーイで日暮れでもゲームボーイで抵抗してる



大教会の石庭の真ん中でやるキャンプファイヤー夜を焦がしてく


お泊り会の夜にすれちがう女子 同じクラスだが見て見ぬふりをした



祖父祖母は何十年も朝・夕に祭壇の前 伯父の早世


大教会の便器の消えたトイレでは水が飛び出す まだ見る夢だ



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Haruki-UC
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