港湾労働者から「哲学者」になった男の、ふか~い言葉の世界:『魂の錬金術』
長らく待ち焦がれていた一冊が、ついにぼくの手に!
その一冊とは、エリック・ホッファーの『魂の錬金術:全アフォリズム集』です。
ホッファーは、港湾労働者という経歴を持ちながら、深遠な思想を世に送り出した異色の哲学者として知られています。
今回は、この本から得た知的生産術のヒントを3つの視点からご紹介します。
エリック・ホッファーの知的生産術:言葉の錬金術
ホッファーは、独自の知的生産術を確立していました。
それは、まるで錬金術のように、日々の思考を言葉という黄金に変えるプロセスです。
① 思考の種をまく
まず、読書や経験から得た重要な言葉や考えを、カードに書き留めます。まるで、畑に種をまくように、思考の種を散りばめていくのです。
② 思考を深める
次に、これらのカードを参考に、日記に自分の考えを書き出します。種をまいた畑に水をやり、肥料を与えるように、思考を深めていきます。
③ 真理を引き出す
長い時間をかけて、考えを熟成・凝縮し、50~200語ほどの格言にまとめます。まるで、錬金術師が鉛を金に変えるように、平凡な言葉から普遍的な真理を引き出します。
④ 一度寝かせて洗練
1つのテーマについて「格言集」ができあがったら、別のテーマに移り、同じプロセスを繰り返します。そして、時が経ってから、これらの格言に肉付けし、エッセイに発展。そして、そのエッセイを本としてまとめます。
(本書p.212の訳者の解説を参考にしました。)
1つの格言は日本語だと75~400語程度
ホッファーが言う格言の1つの長さは、英語で50~200単語。
一般的に、英語の1単語は、日本語の1.5~2語に相当すると考えられています。
ですので日本語に置き換えると、およそ75~400語程度。
これは、SNSの投稿にちょうど良い長さと言えるでしょう。
𝕏の1つのポストが140文字ですから、1つの格言は、1~3つのポストにまとめればよいことになります。
アフォリズムの魅力
本書には、思わず考えさせられるようなアフォリズムが475個も収められています。
たとえば、「人生の秘訣で最善のものは、優雅に年をとる方法を知ることである。(p.102)」という一節は、老いをどのように捉えるべきか、ぼくたちに問いかけます。
また、「われわれはおそらく自分を支持してくれる者より、自分が支持する者により大きな愛情を抱くだろう。われわれにとっては、自己利益よりも虚栄心のほうがはるかに重要なのだ。(p.91)」という言葉は、人間の心理の奥深さを浮き彫りにしています。
これらの言葉は、まるで鏡のように、ぼくたちの心の奥底を映し出してくれます。
個人的には、現状、ニーチェの『愉しい学問』、シオランの『生誕の災厄』、ヴィトゲンシュタインの『反哲学的断章』がアフォリズムトップ3です。
しかし、時間をかけるにつれて、本作がトップ3に食い込みそうな予感がしています。
まとめ
『魂の錬金術』は、単なる格言集ではありません。
それは、ホッファーが生涯をかけて紡ぎ出した、言葉の結晶です。
この本を読むことで、私たちは言葉の力を改めて認識し、自分自身の思考を深めることができるでしょう。
もし、あなたが言葉の力を信じ、思考を深めたいと考えているなら、オススメの一冊です。
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