091_『本屋さんしか行きたいとこがない』 / 島田潤一郎
旅行をすることがあれば、その街に良さそうな本屋がないか、必ず事前調査をするし、場合によっては本屋さんのために旅程を弄ることも厭わない。それくらい本屋さんが好きというか、自分にとっては身近な存在。
最寄駅に降り立てば、自宅に直帰するのではなく、いつもの本屋さんに寄って棚を一通り見てしまう。
多分、そういった類の人種というのは少なくなくて、だから本屋さんという商売が成り立っているのだなとも思う。
そして、それが極まると、その人は本屋さんになるのだなと思っていた。
ら、やはり、そうだった。
タイトルからして、もう悟りを開ききったかのよう。本屋さんしか行きたいとこがないというのもどうかとは思ったりもするけれど、きっと、見栄や羞恥心やルサンチマン等のあらゆる雑念から解脱したからこそ言える一言なのだろう。
自分の場合は、まだまだ棚の陳列を見て唸るほどの見識は持ち合わせていないけれど、この本からある種の視座というのを与えてもらった気がするし、本屋さんの棚に隠された想いや、あるいは癖のようなもの、それをいつもの本屋さんにも見つけてみたいと思う。
一人出版社の夏葉社さんの、もう一つのレーベル岬書店の一冊。これは手元に大事に取っておきたい一冊。
取次を経由していないので、Amazonや大手書店では扱っていないので、七月堂古書部さんのオンラインストアで購入したら、お手紙が入っていた。岬書店さんのスリップがオリジナルイラスト入りで可愛らしく、ご好意でそのスリップを取り外さずに入れてくれていた。嬉しい限り。
本というのは、間接的なコミュニケーションだなと感じる。
作家と、そして関わる人と。
せっかくなので、これを機に、自分でも、リトルプレスでも作ってみようかな。