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食べることと出すこと 頭木弘樹2020年医学書院№417

人間は、食べて出すだけの一本の管

著者は二十歳で潰瘍性大腸炎という難病に襲われ、13年間闘病生活を送った。「食べること」「出すこと」ここにこんなにフォーカスして考えたことなかった。闘病生活を送ったからこそ気づいたこと。

退院後の食養生。「豆腐・半熟卵・ささみ」13年間ずっとこの生活。

■食べられないことは、受け入れられない
人間関係と食べることが深く繋がっていることに、食べることに不自由になるまで気づかなかった。人と人との間には飲食物が置かれる。客人へお茶を出さないと気が利かない人になる。出されたものに口をつけないと失礼な人になる。立ち話でも「今度、一杯やろう」「今度はお食事でも」となる。飲食を共にすることで関係を深めようとする。相手が出したものを食べないことは相手を拒否すること。自分の手に乗せた餌をペットが食べてくれたとき、信頼を感じる。誰と食べるかで味が変わる。

■1日20回以上トイレに駆け込む。
便意も通常の下痢よりかなり激しい。いちばん危険なのは、トイレに着いてからなのだ。私はこのときほど『百里を行く者は九十里を半ばとす』という言葉が身にしみたことはない。みなさんも経験あるでしょう。トイレに着いたとたん今まで我慢できたものが崩壊する感覚。

■病人は明るくしていろ!
「病は気から」だから明るいことが求められる。辛いのに笑顔を求められる。楽しい時に泣けと言われれば誰もが難しいはず。なのに辛い時に笑うことが出来ると思っている人が多い。不思議だ。医師・看護師も患者の前では明るくしようとする。病室は、医師・看護師・患者の三者ともが「感情労働」に携わる不思議な空間。

【感想・行動】
「食べる」「出す」にここまでフォーカスした本はないでしょう。健常者が当たり前のように日常していることなので、そんな風に考えたことがない。闘病記なんだけど、ユーモアを交え重い空気感はなく。失って初めてわかること。失った人でないとわからないこと。たくさんありますね。

未経験者が勝手に想像力を働かせ、良かれと思ってやっていること、掛けている言葉。これは相当気を付けないといけないなと思いました。

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