エゴサする哲学者と内なるヤンキー
今日は、エゴサの話。
『スマホ時代の哲学』みたいな本を書くのに、私は最近ずっとエゴサをしていて、それってなんか矛盾しているな~~と思うのですが、そういう身だからこそ、我が事として『スマホ時代の哲学』を書けたのではないかと思っています。
言い訳めいているけど、これはほんとにそう思っています。他人事のように、外から偉そうに話しているわけじゃないってことですね。Apex Legendsだってやっているし、Netflixのながら視聴だってやります。理論と自分は、どこかでつながっているんですよね。
で、この本のアマゾンの星、結構好評なのですが、1名の方が星1つをつけています。
「エゴサとかする人は星1でへこむのか…?」と思うかもしれませんが、「合う合わないは何にでもあるから、今回は縁がなかったんだなぁ」と思うだけで、特にへこみません。
どちらかというと、私が今年出したもう一冊の本(黒い表紙のやつ)についている、中評価レビューみたいに、訳知り顔で、適当なこと書いて評価低いみたいな方が、私の「内なるヤンキー精神」を刺激してきます。
私は(マイルド)ヤンキーの多い地域出身なので、イラッとすると「内なるヤンキー」がひょっこりするのです。
文章でへこむことって、自分自身のハードルを超えられないとか、そういうタイミングに生じることであって、他者評価でへこむことって、通常ありません。どちらかというと、イラッとするわけですね。
星1つくらい互いに縁がないなら別に構わないのですが(違う星の人なのね、くらいのことで)、知った風なことをそれっぽく書く人にはむちゃくちゃ違和感があります。内なるヤンキーが起動し始める……。
例えば、note上には、私のある本について紹介している体裁で、私の経歴とそれをめぐる私の語りと絡めながら、実質的な個人攻撃を行っている文章があります。
しかも、それが個人攻撃でないかのように、それっぽい語り口に仕立てられていて……。
なんていうか、批判するなら内容・議論に関して批判するのがマナーですよね。
それとは別の本(黒い表紙の本)でも、「はじめに」を読んだ方が、「この著者は若い頃に、〇〇が何を言っているかわからなくて投げ出した(だからダメだよね)」と読んでいる方がいました。
ちゃんと読めばわかりますが、「一応読んだけど、本格的に理解するためにそのあと1,2年くらい本を寝かせていたよ」というだけのことなんですよね。
言葉尻に引っ張られて、文脈を読むことを怠っている。
なんというか、黒い本は専門書なので……もうちょっとがんばって読んでほしいですね。
(思い出してちょっとイラッとしたけど、ヤンキーが出てこないように言葉を選んだ)
みたいなことが最近ありました。
まぁでもそんな話はいいんですよ、別に。エゴサの話をしましょう。
本を出すって、ほどほどによくできている文章で留めず、ちゃんと文章を練り上げようとする限り、かなり生活や精神に無理をさせる体験なんですね。
だって、普段誰だって、ぼーっと生きているわけで、意識的に思考することすらない。なのに、それを端正にまとめて文章にするなんて、簡単にできることではないわけですし、時間もかかることです。
で、本一冊って、一般書だと7、8万字くらいから、12、13万字くらいのものだと思いますが、専門書だと、15万字、20万字、25万字、あるいはそれ以上ということも珍しくありません。
それだけの息の長い仕事をやるには、人間が普段しないことを無理してやらせる局面をどれだけ作れるかの勝負って感じなんです。だから、結構疲れる。終わった後もしばらく、ランナーズハイみたいな状態がどうしても続くんですよね。
エゴサをしてしまう背景には、この躁的な気分があるような気がしますだから、しばらくするとエゴサの波も落ち着くんですよね、大体の場合は、
問題は、私は高頻度で書籍を出していて、それが断続的にあるってことですね。年に数冊ペースなので……。
もちろん、どんな人にどう届いているのか、あるいは、どういう人には届いていないのかということが、書き手としては素朴に気になるということもあります。というか、エゴサの最大の理由はこれなんですけどね。
やっぱり、本として出すからには「いいもの」だと確信して出しますし、「いいもの」を作り出したからには、ちゃんと届けたいですよね。
それに、本を成立させるプロセスに、編集・校正・デザイン・イラスト・営業・流通など、無数の人が関わっているわけで、そういう人たちに報いたいという思いもあって、宣伝もかねてエゴサします。(言い訳)
そんな感じでした。
追記。ちょっと読まれているので周知がてら。
『スマホ時代の哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の「第2刷」に印刷ミスがあったようです。該当箇所は、p.230。
2刷を手に取ったみなさんにはお手間をおかけしますが、下記URLに、代替pdf、交換、返金等の対応について記載されていますので、ご確認いただければ幸いです。
出版社からも、少なくとも著者である私には、迅速かつ誠実な対応をいただきました。なので、書店や購入者の方にも、迅速で誠実な応対をしていただけると思います。
お手間をおかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
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