社内政治なんて幻想だったかもしれない。(石倉秀明『THE FORMAT』を読んで)
「根回し」という言葉があるように、誰に何をどのように伝えるべきかといった、“会社ごとの暗黙のルール”は間違いなく存在する。
そんな社内政治という考え方に、僕はいつも馴染めなかった。「馴染めなかったのを、会社のせいにしていた」と言い換えてもいいだろう。
だが、元キャスター取締役である石倉秀明さんの『THE FORMAT』という本を読んで、僕の勘違いだったように思えてきた。僕のレベルで苦労していた社内政治なんてのは幻想で、単に僕の能力不足だっただけではないのかと。
本書で語られていることは、実にシンプルだ。
正直に告白すると、読み始めたときは「そんな魔法のような文章術なんて、ないに決まっている」と思ってしまった。世の中に数多ある文章術の書籍のひとつで、読後感はスッキリするけど能力は何ひとつ上がっていない、的な類の本だと思い込んでいたのだ。
だけど読み進めているうちに、僕自身の凝り固まった思考を思い知ることになる。色々な事情によって「経営陣や上司を説得するのは、半ば無理である」と考えていたのだ。A社ならA社のやり方が、B社ならB社のやり方が。それぞれ暗黙化したルールに則らない限り、意見を通すことなんてできない。
しかしこれは僕の全くの誤解であって、『THE FORMAT』に書かれているようなフォーマットに則れば、スムーズにコミュニケーションがとれ、結果的にしっかり仕事が前に進んでいく。逆にいうと、そのフォーマットを自力で見つけられなかった&落とし込めなかったことによって、僕は約18年間、社会人として業務上のコミュニケーションに苦労し続けたのだった。
石倉さん曰く、「仕事の文章は、同じ目的地へと導く『地図』である」とのこと。地図はデザイン性の高さは二の次で、とにかく分かりやすさが重要であると。
「何を当たり前のことを……」と怒られてしまうかもしれない。
だが、(僕を含めて)多くの人は「意識はしているけれど、100%徹底できているとは限らない」という感じではないだろうか。
「わかりやすい地図」に倣った文章を徹底して書き続けることができるか。それがビジネスパーソンとしての成否を分けるものだと、今更ながら痛感した。
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第5章では、「『テキストだけで仕事をする』に切り替えていくと生まれる未来」として、石倉さんがイメージする未来の働き方について言及されている。
これは、社員全員がリモートワークを実践し、上場を果たしたキャスターを牽引してきた石倉さんだからこそ説得力のある言葉だ。
正社員で働くことが全てではない時代。
実際僕も、会社を経営しつつ、業務委託などを通じて色々な会社と連携しながら仕事に臨んでいる。周囲を見渡せば、色々な人たちが十人十色の多様な働き方を実践している。チャット中心の「書く、読む」をベースにしたコミュニケーションはますます欠かせないものになっていくだろう。
社内政治なんて幻想だった。
要は、フォーマットに則ったコミュニケーションの技術が不足していただけ。それでもきっと遅くない。
『THE FORMAT』を実践し、これからもバリバリ「書く」を続けたならば、リモートワークの恩恵を100%得られた人生を歩めるはずだ。書くぞー!
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