『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』を読む
電通報
論理や戦略ではなく、妄想や直感からスタートして、現実を動かす思考の技法を「ビジョン思考」と呼ぶ。
ビジョン思考の基本サイクルは、「妄想→知覚→組替→表現」 の4つのステップからなる。
【妄想 (ビジョン)】pp.92〜134.
「妄想と現実とのギャップ」を認識する。
自らの関心に基づくビジョンを明確にし、現状との間のギャップを受け入れた時、その隔たりを埋める気持ちが起こり、創造的になれる。
▶ 手書きの紙の余白
▶ ジャーナリング(毎日 同じ時間に)
▶ 何もしない時間
▶ 妄想Question
【知覚】pp.136〜170.
「知覚」による統合・解釈によって、自分の中から取り出したビジョンを妄想から、現実を動かすアイデアへと洗練しする。
これは、① 感知(外界の情報を「ありのまま」によく見る) ② 解釈(インプットした情報を「絵」にして考える) ③ 意味づけ(イメージで捉えている世界を「言語化」し自分なりの解釈に「意味」を与える)の3ステップがある。
【組替】pp.172〜209.
De- / 接頭語 分離してハッキリさせる
Signum / 印 記号
アイデアを他人に見せてフィードバックをもらったり、要素を細かく分解して組み替えたりする。
組替え=分解+再構築
それによって、個人の妄想に客観性が 付与され、よりアイデアらしくすることができる。
① 箇条書きはアイデアを固定してしまう
② 違和感に正直に
③ あたりまえを裏返す
a. 発想に「ゆらぎ」を与える
b. アナロジー思考
c. 制限を与える
【表現】pp.212〜249.
アイデアを実現するために、まず試作品 (プロトタイプ) をつくる。
「新しいモノが好きな人」「ノリのいい人」に話す。
① 反復完成度の高いプロトタイプを生み出すには、「具体化→フィードバック→具体化」の反復が重要である。
② 鳥の目と虫の目
③ 速さ → 質を高める
④ 人の心を動かすには
a. 表現の余白(スキマ)をつくる
b. ストーリー(物語)をつくる
【「ビジョン思考」とは】pp.252〜271.
圧倒的な結果を出し続けている会社やチーム。 その陰には、「これがやりたい!」という強い想いをもった人たちがいる。
彼らを動かしているのは、「論理的に導き出された戦略」や「データ分析に基づいたマーケティング」ではない。
その原動力は、根拠のない「直感」、得体の知れない「妄想」。
いわゆる「ビジョン」の素になっているものだ。
論理・戦略の終焉
「それはただの個人的な妄想だ。まず論拠やエ ビデンスを示せ」
「論理に裏打ちされた戦略があってこそ、成功にたどりつける」
このような、かつてのビジネスの常識は機能不全を起こし、データやロジックに基づいたマーケティングを行い、資本を集中投下するという旧来の考え方上手くいかない。
一方で、直感や妄想を基に、マーケットに強烈なインパクトを与えている人・企業がある。彼らは、途方もない妄想をまず示し、それを駆動力に、 ヒト・モノ・カネを呼び込む。
「2035年までに人類を火星に移住可能にする」 (イーロン・マスク/スペースX)
「質の高い教育を、無償で世界に提供する」(サルマンカーン/カーンアカデミー創業者)
彼らを突き動かすのは、直感である。自分が描く未来に対する、狂信的とも言える妄想だ。
なぜ、彼らは論理を離れたところからスタートしながら、最終的に、現実を動かせるのか?
そのカギは「直感と論理をつなぐ思考法」だ。
自分の妄想を解き放った後には、それを具体的な「かたち」へと落とし込み、周囲の人を納得させるステップが不可欠だ。
ビジョナリーな人たちは、途方もないビジョンを駆動力にしながらも、同時に、直感を「論理」 につなぎ、妄想を「戦略」に落とし込む。これを「ビジョン思考」と呼ぶ。
ビジョン思考の基本サイクルは、「妄想」「知覚」「組替」「表現」の4つのステップから成る。
すべては「妄想」からはじまる。直感と論理をつなぐ。
【本の目次】
第1章 「直感と論理」をめぐる世界の地図
・「カイゼンの民」に迫りくる自動化とVUCAの脅威
・デザイン思考の3つのシンプルな本質
・4つの思考サイクルの違い――ビジョン思考とは?
第2章 最も人間らしく考える
・人が「自分らしい思考」を喪失する4つの原因
・「余白づくり」がすべての起点になる
・「頭」で考えていては淘汰される。「手」で考えるには?
第3章 すべては「妄想」からはじまる
・根拠なき大風呂敷を嫌う「前年比至上主義」―イシューとビジョン
・「10%成長」よりも「10倍成長」を考える―ムーンショット
・「感情アウトプット」するモーニング・ジャーナリング
・創造の「テンション」を引き出す―魔法の問いかけ
第4章 世界を複雑なまま「知覚」せよ
・知覚力を磨くには?―頭を「タコツボ化」させない方法
・「手さぐり上手」が生き残る―センス・メイキング理論
・妄想を1枚の絵にする「ビジョン・スケッチ」
・モード切り替え力を高める「クラウドハント」の技法
第5章 凡庸さを克服する「組替」の技法
・最初は「つまらない妄想」からはじめたほうがいい
・「箇条書き」はアイデアを固定してしまう
・「組替力」を飛躍的に高める「可動式メモ術」
・「アナロジー的な認知」を促す3つのチェックポイント
第6章 「表現」しなきゃ思考じゃない!
・イタレーション(反復)が「手で考える」のカギ
・早めの失敗は儲けもの―「鳥の目」と「虫の目」
・「手で考える」を邪魔するもの―表現の余白づくり1
・記憶力と創造性が高まる「ビジュアルメモ」
終章 「妄想」が世界を変える?
・改めて問う、なぜ「自分モード」からはじめるのか?
・アーティストの成長に見る「妄想を具体化する技術」の磨き方
・妄想を「社会の文脈」から問い直してみる―真・善・美
【追記】① 直感と論理をつなぐ思考法をマスターするnote
【追記】② 『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』佐宗 邦威
2021.10.02
2022.05.21. 追記 ①
2023.03.24. 追記 ②