【Study_note】小泉八雲について②
『小泉八雲』池田雅之 著
はじめに
この本は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の日本滞在中の心の軌跡を中心に描かれた「八雲を理解するためのガイドブック」かなと思います。
キーワード「霊的なもの」
八雲は、東京帝国大学での「文学における超自然的なものの価値」と云う講義で【霊的なもの(ghostly)】と云う言葉は想像以上に意味深長な言葉であると語っている。
「霊的(ghostly)」
古代英語には「霊の(spiritual)」「超自然的(super natural)」に該当するコトバが無かった。
この二つの言葉の起源は、ラテン語なのです。
今日の「神の(divain)」「聖なる(horiy)」「奇跡的な(mirakyuras)」と称される言葉は、全て 古代アングロ・サクソン人にとっては「霊的(ghostly)」の一言で説明されるものでした。
今日(こんにち)奉じている「神」の概念は、幽霊の存在を信じた原初的信仰から発展してきたものだろう。
幽霊の存在を信じようと信じまいと、怪奇文学の芸術的要素は、ことごとく夢の中に存在する。
ポイント:恐怖の夢と文学における想像力
八雲は、日本人だったら見落とすであろ さまざまな「日本人の美質」を拾い出した作家だと思います。
八雲の来歴
第一期:19歳までのヨーロッパ時代
0〜2歳 ギリシア
3〜13歳 アイルランド フランス
13〜19歳 イギリス
第二期:19歳〜39歳までのアメリカ時代
19〜27歳 シンシナティ
27〜37歳 ニューオーリンズ
37〜38歳 マルティニーク
38〜39歳 ニューヨーク
第三期:39歳〜54歳までの日本時代
東京・横浜 1890.04〜08
松江 1890.08〜1891.11
熊本 1891.11〜1894.10
神戸 1894.10〜1896.08
東京 1896.09〜1904.09
1904.09.26.死去
八雲自身が描く八雲像
「妖精の仙境」を向う見ずにも、訪れたおとぎ話の流浪者にも似て、日本の幻に永遠にとりつかれている。
八雲文学の特徴
① 何か別に典拠(オリジナル)があって、それを自分をアイデンティファイ (同一に扱う) させて、自己を間接的に語ろうとする。
② 八雲の話には、ハッピーエンドで終わる話がない。
八雲の松江 松江の八雲
「すべてに安らぎを与える自然の豊かさと16世紀の夢の数々が息づいている。」
『日本の面影』日本の庭にてより
「わたしは、これから方々へ巡礼しなければならない。この“まち”の周囲には、湖水の向こう、山の彼方に、古い古い聖地があるからだ。」
『日本の面影』神々の国の首都より
怪談の生きる “まち”
『日本の面影』の中の「日本海に沿って」では、宿の女中から八雲が直接聞いたと言われる「鳥取の蒲団」の話がある。
「あにさん、寒かろう。」
「おまえ、寒かろう」と言って泣く、蒲団に宿る貧しい兄弟の霊の話である。
『日本の面影』日本海に沿ってより
この他にも「小豆とぎ橋」「水飴を買う女」など霊的な世界や死者たちの魂の行方に着目した再話文学作品です。
八雲の「書簡」に語られたドラマ
八雲と言えば「怪談」がイメージされるが、もうひとつ「書簡」に注目した人がいました。
日本時代の親友 B•H•チェンバレンと、八雲の生涯の友達であったアメリカのジャーナリスト、エリザベス•ビスラントでした。
着目は「熊本時代の心の内のせめぎ合い」でした。
▶ 古い伝統と文学を持った「旧日本」
▶ 欧化主義と富国強兵に突き進む「新日本」
『ラフカディオ・ハーン著作集14』恒文社
教育者としての小泉八雲
八雲が語りかけてくるもの
霊的な世界
妖精の世界
夢の小宇宙としての再話文学
【Note】2022.07.05.
小泉八雲が追い求めたものは
▶ モノが豊かなだけでは良い社会とは言わない。
▶ 妖怪や感染症は、人を敬う気持ちを教えてくれる。
▶ オープンマインドで五感を使って世の中を見る。
【Study_note】2022.07.09.
NHK【100分de名著】
小泉八雲 日本の面影 第1回「原点を訪ねる旅」
2022.07.11.