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有機農業とは、STYLEではなく、LIFEである。…とりあえず、この言葉を出発点として勉強をはじめてみます。

いま、なぜ有機農業なのか

先日、有機野菜生産者セミナーに参加してきました。「有機農業」という言葉にはいままでにもさまざまな場面で耳にしてきました。本サイトにも登場いただいた生産者インタビューや周囲の消費者。作る側・食べる側どちらからもその言葉を聞く場面があります。最近、有機農業が改めて注目されてきている気がしています。(特に根拠はありません。実感として。)

僕自身も「有機農業って何?」と聞かれることもありました。しかし、うまく説明できない自分がいました。「農薬や化学肥料を使わないのが基本で…」「その土地、場所にあったやり方で野菜を育てるとか」というような何とも歯切れの悪い物言いになってしまうのです。

いままでに取材させていただいた方にも有機農業を実践されている方も多くいます。しかし、短い取材時間の中で有機農業そのものについて説明できるようなことでもないのだろうな、という感触を持つようになっていきました。それを感じるようになっていたのは、法律やルールの世界だけでは語れない何かがありそう、本質はもっと別のところにあるのでは、何よりも「聞く側」の知識、考え、生活スタイルによっても話の仕方が変わるんではないかと思っていました。

有機農業に関する決めごと

有機農業に関する決めごおは、どんなものがあるのでしょう。有機農業の推進に関する法律。そこにはこんな言葉があります。

「この法律において「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷 をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」

http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/pdf/d-1.pdf

農林水産省HPから引用

また、有機農産物に関してもJAS法によりJAS規格に適合した農産物でなければ、「有機○○」、「オーガニック○○」等の表示 ができなくなっています。有機農産物の表示概要パンフレットにはこう記載されています。

有機農産物とは
①種播き又は植え付け前2年以上、禁止されている農薬や化学肥料を使用しない田畑で生産。
②遺伝子組換え由来の種苗を使用しない。
③原則として農薬・化学肥料を使用しないで栽培を行う等、地域環境への負担をできる限り軽減した栽培で生産した食品。

http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/pamph_d7.pdf

農林水産省HPから引用

有機農産物のJAS企画制度の概要
有機農産物の名称の使用に関しては、ほ場の条件、肥培管理、種苗、防除法等、特別な生産方法で栽 培された農産物のみにJASマークの表示を付すことができます。このため、有機農産物を生産しようとする場合には、あらかじめ「登録認定機関」から認定を受けた 上で、JAS規格の格付けを行います。なお、流通段階において、小分け(箱詰めのものを小袋に詰め替える。)が行われ、有機農産物として 流通させるために小分け業者にも認定制度が、又、輸入業者にも認定制度があります。

http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

農林水産省HPから引用

この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。

こんな具合に、有機農業、そこから生み出される有機農産物については法律でいろいろな基準・規格が制定されていて検査の結果、認定された事業者が生産・製造した商品をさらに検査、認定されたものが有機JASマークを付けて販売することができる、ということのようです。

有機農業を知るためには決めごと以外のことを知る必要がある?

しかし、こうした決めごとを知るだけでは、「有機農業」を理解したことにはならないのではと思っています。ここが一番モヤモヤしている部分なのです。このモヤモヤがある限り、有機農業のことを記事にできないし、人に説明することもできない。かといって、生産者の方の作業時間を削ってまでして、突っ込んだ話をお聞きするのもどうかなぁ、と思っていたところにセミナーのことを知り、話を聞きにいったという次第です。

結論から言うと、モヤモヤがすっきりした部分と見えていない部分についてははっきりしました。しかし、見えていない部分の大きさがまだつかめていません…。ここはモヤモヤがさらに深まりました。その中でも、とっかかりになりそうな言葉をいくつか聞けたのでそれだけ書いてみます。

「有機農業は生産者と消費者の提携である」

「生産者は消費者の命を守り、消費者は生産者の生活を守る」

「野菜が豊作のときは生産者も消費者もうれしい。気持ちが比例する。これが流通に乗ると、逆転してしまう」

ここから先は取材にいかせてもらうしか方法がないと思い、その場で講師の生産者の方に取材を申し込むと快く引き受けていただけました。なので、今後何度かの取材によって理解できたこと、モヤモヤが残ることを記事にしていきたいと思います。もちろん、何度かの取材で有機農業のすべてがわかるなんてことは思っていません。そもそも有機農業の生産者でもない自分に理解ができるのか、という不安も残ります。しかし、生産者と消費者の間に立つものとして理解できたこと、わからなかったことを自分の言葉で説明できるようにはなりたいと思っています。

1時間のセミナーで感じたこと、現時点での僕なりの有機農業を一言でいえ、といわれたらこう答えます。

「有機農業は、STYLEではなく、LIFEである」と。

さて、いまの感覚が正しいのか、変わっていくのか僕自身とても楽しみです。

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堀尾タモツ
Webの仕事のかたわら、食・農業に関わっています。最近、ついに畑を借りてしまいました…。本業が…、