コーヒー何それ記 コーヒーの苦味の話
ご覧いただきありがとうございます!
しじみとれです
今回はコーヒーの苦味についてまとめていきます!
主に旦部幸博氏の「コーヒーの科学」を参考しています
コーヒーを飲むと必ず感じる「苦味」。皆さん常日頃から感じているであろうこの味覚、様々なものに影響されて感じるものです
では、コーヒーの苦味はどこから来るのか?みなさんと一緒に苦味の旅に出かけていこうと思います!
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旅支度、そもそも苦味がなんでおいしい?
本来苦味は毒の味として人間にある生理的な防衛反応といわれています。この点から苦味をおいしいと感じれるのは変な話です
苦味でおいしいと感じるものといえばゴーヤやビールなどあります。ですが皆さん思い出してみてください!初めて食べた時、飲んだ時は「にがっ!」と感じたはずです!なのに今日我々はおいしそうに食べる、飲むをしています!
舌が大人になったという表現がありますが、研究で大人も子供も苦味の感じる能力に大きな差はないことがわかっています
ではなぜ?答えは食体験にあります
先ほど挙げた苦味のある食べものや飲み物を一緒に、または周囲の人が食べてた、という事例があったと思います。極端に言えばこれを食べても死ぬことはない、ということが本能的に理解できる機会があったのです。むろん、周囲の社会的、文化的に需要されているかも重要です
また、苦味には種類がありますよね?そしてほどほどの苦味でもありますよね?その違いも大切なのです!
他にも酸味や辛味、渋みも同様な経緯を経て「おいしい」と感じるようになっていくようです
これらを旦部氏は以下のようにまとめています
旅のはじめ
コーヒーには2種類の苦味があると私は思っています。「すっきりする苦味」と「後味に残る、舌に残る苦味」です
そもそもなぜそう感じるのか?答えは口の中、口腔内の仕組みにあります
飲んだ時に大体は飲み干されていきますが、成分の一部は味蕾や口腔粘膜に残ります。それをだ液で流されていくのです
そして、苦味には早く流れるのと遅く流れるもののがあるのです
長く残るものは口腔内のタンパク質と結びつくものも
これは分子や親水性の違いなどで大きく変わるのです
つまり、苦味には早く流れる「スッキリした苦味」と遅く流れる「後味に残る、舌に残る」ものと物質的に分けられるのです!
コーヒーの成分
簡単にコーヒーの成分(生豆)と味や香りに影響する部分を簡単に羅列していきます
炭水化物(多糖類)
ショ糖
→味:苦味の多様さ、複雑さ、やわらかい酸味、フルーティーな酸味
→香り:ロースト臭、土臭さ、ナッツ、チョコレート、キャラメル、シロップ、バター、熟れたフルーツタンパク質・アミノ酸
→香り:(含流アミノ酸)ジャガイモ、玉ねぎトリゴネリン
クロロゲン酸
脂質
→味:油質分
→香り:(精油成分)フレッシュフルーツ、フローラル有機酸
→味:フルーティーな酸味カフェイン
灰分
水分
アラビカ種、ロブスタ種ともに中身は同じですが、含有量が違います。例えばロブスタ種はカフェインの量が多いなどです
また、焙煎後にはこの中にメラノイジンや不明物質が発生します
コーヒーの苦味の物質
先にあげた物質たちの中に苦味の素となる物質でわかるものがありましたでしょうか?
私はカフェインぐらいしかわかりませんでした
カフェインはお茶やエナジードリンク、などに含まれている有名な物質です。お世話になっている方も多いのではないでしょうか?
では、苦味の正体はカフェインなのか?
答えはノーです
最初は苦味の物質はカフェインだとされてきましたが、研究によってほかの成分もわかってきました。カフェイン含めて苦味の成分たちを紹介していきます!
カフェイン
全体の1~3割の苦味の原因。つまりメインではありません。アルカロイド、覚醒作用の本体で焙煎で量の変化なし。水に溶けやすく適度な濃さなら「後に引かないスッキリした苦味」になるクロロゲン酸ラクトン類 クロロゲン酸とカフェー酸の化合物
焙煎によって生じる物質。中煎りをピークに減少。カフェインの10倍の苦味ビニルカテコール・オリゴマ クロロゲン酸とカフェー酸の化合物
焙煎によって生じる物質。中煎り以降に増加。カフェインの10倍の苦み。親油性ビニルカテコールポリマー(重合物)
ビニルカテコール・オリゴマがさらに縮合したものフルリルカテコール類 クロロゲン酸と糖の化合物
2、3以上の渋さシグトペラジン類
黒ビールやカカオの苦味成分でもある。ダークチョコレート系の苦味成分?コーヒーメラノイジン アミノ酸と糖類とクロロゲン酸の過熱の化学反応したもの(メラード反応)
水溶性の褐色色素群。コーヒーの黒い成分の正体。平均分子量と色調の違いで
A(黒褐色、分子量:大)B(赤褐色、分子量:中)C(黄褐色、分子量:小)
の3つに分けられる。焙煎時にC→B→Aと変化していく。いずれも弱い苦味。CやBは比較的おいしい、Aは口の中でこべりつく苦渋と言われている。なのでC,Bを「良いお焦げ」Aを「悪いお焦げ」とも説明されている
と、長々と説明しました
文系の私は目が回りそうになりました…
簡単に言えばこの物質たちの影響で焙煎が深くなると「苦味」、「後味に感じる、舌に残る」苦味も強くなっていく証明でもあります
苦味を演出する脇役たち
では、物質以外にどんなものが苦味に影響を与ええているのでしょうか?ここで紹介していきます
粉砕
細かく引けば濃厚で苦味のつよい味 → お湯にあたる面積が増えるため(この項目は後日「焙煎」で解説できたらと思います)温度
高いほうが溶け出す成分が多い。ただし何度で何が溶け出しやすいかは不明。
高い → 雑味が出やすい 低い → 短時間では十分に成分が出ない
旦部氏いわく、過去の実験でクロロゲン酸を過熱した「中煎りの苦味」の混合物は常温では溶けにくく、カフェインや有機酸、カフェー酸を過熱した「深入りの苦味」は常温でも溶けた、とのことかくはん
抽出時に粉砕した豆とお湯を激しく混ぜると隔離や融出する量が増加しまずい苦味がでる
このようにほかの段階でも苦味がどのようにでるかがわかると思います
苦味を抑える脇役
今までは苦味を引き立てるものを紹介しましたが、逆に抑えるものはあるのか?
実はあります!
それが「泡」なのです
そもそもコーヒーの泡は炭酸ガス(二酸化炭素)と泡を安定させる界面活性物質があるこで発生します
界面活性物質は疎水性の高いコーヒーメラノイジン、ビニルカテコール・オリゴマなどのフェノール類が濃縮されます
また、微粉や油滴があつまるので「苦渋計の味、舌触りの悪い物質」が泡にあつまるのです
つまり、泡には「後味に感じる、舌に残る」苦味を抑えてくれる作用があるのです
旅の終わりに、コーヒーの苦味
ここまでいろいろと物質やそのほかの工程での影響についてみてきました。まとめると
焙煎、粉砕、抽出、温度とメインのところで苦味に合わせた加工を行うと狙った苦味を引き出すことができる
ということです
今まで、先人たちが試行錯誤し「わかっていた」苦味の出し方を科学的に説明したものがこれになるのです
このほかにもまだ苦味についてはまだわかっていないところも多く、今日世界各国で研究が続いているのです
まとめ
というわけで苦味について書いていきました
コーヒーの根幹といえる苦味はやっぱり重要な要素で、これがないとコーヒーじゃないと感じる方も多いのではないでしょうか?
サードウェーブ系ではAcidity、つまり酸味を引き出すのに取り組んでいるお店をよく見ますが、最近は風味も重視し始めているという話も聞きました
ある意味、浅煎り系でも苦味の再評価が進んでいったらな、と個人的には思っています
無論、苦味は古く酸味が新しいというわけではありませんが
科学的な部分の説明でしたがどうでしたでしょうか?皆さんも苦味を楽しんでいってくれたらと思います!
参考文献
旦部幸博「コーヒーの科学」2016 講談社
旦部幸博 田口護 「コーヒー おいしさの方程式」2014 NHK出版
あとがき
今回は今までの内容と打って変わった内容でかつ、最長になってしまいました・・・
科学者や焙煎士さんの本を参考にしているのでおかしなところはないとおもいます(自分の読解力不足もあるかも)
ですが、調べれば調べるほどコーヒーの世界にどっぷりとはまっていってしまいます!とても楽しくて最高です
今回の記事が皆さんのコーヒーライフに少しでも役に立ちますように・・・
記事、いかがでしたでしょうか?
よろしければスキ、フォロー、コメントお待ちしております!
しじみとれでした