なぜ私が保健委員長になったのか…
なぜ、私が保健の先生の代わりに、よく保健室にいるのかお話ししようと思う。
あ、みなさん、わかってらっしゃると思いますが、今、私の頭の上には『妄想中』という札が上がっていますよ。
なぜこんな妄想話をするのかというと、詳しくはこちらね。
読んでない方は、どうぞ。
今日も授業をサボって保健室のベッドで寝ていた。
初めはサボるつもりはなかった。
本当にお腹が痛かったし、2回目の時は頭が痛かった。
だけど、この保健室のベッドの寝心地の良さと、他のクラスの音楽の授業中、聞こえてくる音楽室からの合唱の声、校庭で体育を楽しんでいる生徒たちの様子を見ていたら、居心地が良くて、つい保健室に来てしまうのだ。
あれは、何回目の時だっただろう…。
保健室のベッドで寝ていた時に、「すみませ〜ん。あの〜」と、言いながら保健室に1人の生徒が入ってきた。
保健の先生がいないのだろうか…。
何度も声をかけているのに、誰も答えない。
すっかり目が覚めてしまった私は、ベッドから起き上がり、ベッドの周りを囲っていたカーテンを開けた。
さほど勢いよく開けたつもりはなかったが、思ったより、シャーッという音がしたからか、誰もいないと思っていたからなのか、その生徒は、ビクッとして、数10センチ飛び跳ねた。
「あ、ごめんね。驚かせて」
と声をかけ、目線を下げると、その生徒の膝から血が出ているのが見えた。
「あ、血が出てるじゃん」と続けて言うと「ちょっと体育で転んじゃって…」と言った。
何度か保健室に来ていたので、消毒液と絆創膏の場所は知っていた。
少し戸惑いながらも先生もなかなか来ないみたいだったので、勝手に手当てをすることにした。
自分でも驚いたが、意外とテキパキと消毒をし、キレイに絆創膏を貼っていた。
その生徒は「ありがとうございます」と言って保健室を出て行った。
私も次の授業から出席しようかなぁ…、あ、次の4時間目は何の授業だっけ…と、考えていると、また新たな生徒がやってきた。
「頭が痛くて来たんですけど…、あ、先生いないんですか…」と言いながらも保健室の中に入って来た。
「まず、熱測ってみて」と、私は体温計を差し出した。
37.8度。
それほど高い熱ではないが、この後熱が上がるのかもしれないと思い、ベッドに横になるように促した。
先ほど私が寝ていたベッドではなく、その隣のベッドにだ。
これまた勝手に保健室にある冷蔵庫を開け、氷を出し、氷枕を作り、熱のある生徒の頭の下に置いた。
4時間目の授業はもう始まっているなと思った私は、授業に出ることをやめ、自分の使用したベッドを整えた。
整えたと同時に、また保健室をノックして入って来る生徒がいた。
「ちょっと、寝不足だから、寝かせて…」と言って、今ベッドメイキングしたばかりのベッドに潜り込んですぐに寝息を立てて寝てしまった。
私は置いてある椅子に座り、窓の外を眺めていた。
ここの椅子もなかなか座り心地がいい。
体育をしているクラスもあれば、美術の時間なのか、外で絵を描いている生徒もいた。
かと思えば、花壇に水をあげたり、虫を追いかけたり、野菜に肥料をあげている生徒もいた。
そんな思い思いに過ごしている生徒を見ながらボーッとしていた。
もうすぐお昼のチャイムが鳴るという頃、保健の先生が戻ってきた。
授業をサボっていること、勝手に保健室なものをいじったことなど、怒られるかと思いきや、先生は周りを見渡し、色々な状況を察知し、「あ、ありがとう。じゃあ、今日の放課後も頼んでいい❓今日ちょっと忙しいのよ。」と言ってきた。
驚いたが「はい」と、私は思わず返事をしていた。
そんなことが始まりで、私は保健室によく来るようになった。
それは、授業中でも放課後でも。
そうだ。
ここの学校は、自由だったんだ。
今更ながら私はそのことに気がついた。
やりたいことをやりたいようにやる。
それがこの学校の方針だ。
違う学校の生徒も来て、当たり前のように、違和感なく校舎を歩いていることもある。
生徒会活動に精を出している生徒もいる。
生徒会でもないのに、自主的に手伝っている生徒もいる。
部活を掛け持ちしているなんて当たり前のことのようだ。
エチュードを廊下でやっている生徒もいる。
ギターの弾き語りをしたり、ジャズを歌っている者。
俳句を詠む者。
漫画、書道、小説などさまざまな物を書く者もたくさんいる。
性別も関係ない。
歳も関係ない。
身体のどこかが不自由であっても関係ない。
とにかく、自由だ。
みんなが楽しく幸せに学校に通っている。
保健室の窓から見ていると、時々1人で辛そうにしている生徒もいる。
いや、明るく振る舞っている生徒も、たくさんの友だちに囲まれて賑やかにしている生徒も、何かしら胸に辛いものを持っているんだ。
みんなそれぞれ悩みはあるんだ。
だけど、この学校で好きなものを見つけてそれに打ち込んでいると、そんな悩みも、ちっぽけに思えたり、それ自体がネタになったりする。
この学校にいる人のそばにいると、見え方が変わって、世界が煌めいて見えるようになるんだ。
だから、この学校にいると、自分が自分でいられるような気持ちになる。
過去に辛いことがあっても、現在辛い環境にいても、未来に不安を持っていても、この学校でたくさんの生徒と交流をしているうちに、自然と笑顔が増えてくる。
「あぁ、この学校にいて本当に幸せだなぁ」ポツリと呟いた時に、また保健室の扉が開いた。
部活中、怪我をしたという生徒と、脇腹を突かれたという生徒だ。
私は怪我をした生徒に絆創膏を貼り、脇腹にあざが出来ていた生徒に湿布を渡した。
そして、この間お茶会で余ったおやつを1つづつ渡すと、2人とも笑顔になった。
「な、なんか嬉しい…」
人が笑顔になったところを見たら、たまらず声に出てしまった。
保健室で小さな幸せを見つけた。
保健室が大好きになり、そして気づけば『保健委員長』になっていた。
なぜ、私が保健委員長になったのかとか書いておきながら、『気づけば』という感じて締めくくってしまった😅
全然答えになってない…😅
ま、いっか。
やっぱり私に妄想族の頭はムリってことです。
だけど、こんな戯言も楽しかったです。
妄想は、楽しいですね。
こんな妄想話を最後までお読みいただきありがとうございます😊
うちなる平和を💕
シュカポン🐼
幸せをありがとうございます💕