娘の出産
最近娘のことを書くことが多くなってきた。
というわけで、今回は、娘を出産した時のお話を。
なんの得にもならない情報ですので、時間を持て余している方、よろしければどうぞ。
娘は、今から20年前、帝王切開で産まれた。
私は人より身体が小さく、担当の医師ではないドクターが私を見て「あなた、もしかしたら帝王切開の方がいいかもよ」と言った。
背が低いと骨盤も狭く、もしかしたら赤ちゃんの頭が出ないかもしれないらしい。
帝王切開で産むということに、実は私は小躍りしていた。
帝王切開で産めば、国からの補助金の他に、保険もおりる。
しかもその当時の保険、レディースなんちゃらとかで、女性特有の手術だと倍出るやつ。
下世話かもしれないけど、それはとてもおいしい話で、とても嬉しかった。
しかも、帝王切開は、手術日が決まっているので、いつ生まれるのか…と臨月にドキドキしていなくてすむ。
この日という日が決まっているのだから、予定が立てやすい。
これは、なんとラッキーなことなんだ‼️
私はやっぱりツイテル‼️
と思ったくらいだ。
なので、数年前、ドラマ『コウノドリ』で、帝王切開で産むことがすごく嫌だとか、普通分娩にしたいと懇願しているのを観て「あれ?そういうもん?」って思った。
そのあと、ネットで調べたり、ブログに書いてあるのを読んだりした。
そしたら、帝王切開で産んだら、義母に普通に産めないなんてかわいそうに、と言われたとか、普通分娩じゃないと、母親としての自覚が足りないと周りに嫌味を言われたとか、あの痛みを知らないなんてと言われたり、自分でも自然分娩で産みたかったとかがいっぱい書いてあるのを見た。
すっごくびっくりした。
私はズレてるのかな?
帝王切開で産むことに、メリット以外感じていなかったし、なんなら、皆さんに対して「私いいでしょ。ふふん」くらいに思っていたから。
「帝王切開で産んだの」の前には(自慢じゃないけど)のカッコ書きがあるくらいよ。
まさか、普通に産んであげられないことに罪悪感を持ち、落ち込む人がいるなんて。
私ってば、鈍感。
前に、さくらももこさんの『そういうふうにできている』というエッセイ本を読んだ。
本に書かれているのは、出産のこと。
妊娠して、ホルモンのバランスが崩れたり、小さなこの命に、自分を乗っ取られたようだとか、初めて便秘になった話とかが描かれている。
さくらももこさんも帝王切開でお子さんを産んでいた。
面白おかしく、時には宇宙的な、哲学的なお話が書いてあった。
帝王切開の手術でのこと。
さくらももこさんは、手術をしていて、不思議な感覚に陥り、なんと、宇宙に行ったということが書いてあったのだ。
あれは、宇宙にいったとしか思えないというような感覚だったという。
ふわふわとしていて、気持ちよくて、色んなことが明確になって、宇宙の在り方、宇宙の原則、宇宙の法則がわかったような感覚になったんだというお話。
もう、25年くらい前に読んだ本なので確かではないけど、宇宙に行ったとは書いてあったはず。
なので、帝王切開当日、私は我が子に会えるという楽しみはもちろんだけど、宇宙に行けるという楽しみも密かに持っていた。
私は、全身麻酔にはせず、部分麻酔を選んだ。
手術台の上に乗り、麻酔を打ち、麻酔が効いてくるのを待つ。
少し時間を置き、いよいよ出産のためのメスが入る。
ん?い、痛い…。
あれ?私はまだ、地上にいる。
あれ?先生、痛いんですけど…。
麻酔まだ効いてないんですけど…。
それでもメスは入っていく。
まるで切れないナイフでお腹を切られているような感覚。
めちゃくちゃ触感がある。
痛い…。
い、いつ宇宙に行けるんだ?
え?い、痛い…、痛いんですけどぉ〜😵💫
麻酔も効かないし、宇宙にも行けないし‼️
ずっと痛い。
私は全身集中して宇宙に思いを馳せた。
念じた‼️
が、なかなか宇宙には行けない。
周りで「バイタル下がってます」などの声が聞こえてきた。
え?私?
そしたら、麻酔科の先生が私の手を握り「大丈夫だよ」と言ってきた。
「深呼吸して。リラックスして」と。
なんのプレイだろう?
見ず知らずの男性に手を握られ、私は立ち会い出産をしている。
宇宙にも行けず、地上で見ず知らずの男性に手を握られながら、顔を近づけて、励まされ、出産している。
次の瞬間「はい。先生乗るからね。赤ちゃん出るよ」と言われた。
え?先生乗る?
どゆこと?
と思っているうちに、本当に先生が、私の上に馬乗りのようになり、お腹をグッグッグッと押した。
そのあと「はい、赤ちゃん取り出すよ〜」と言って娘が産まれた。
ほんの少し娘の顔を見たのち、私は眠くなる薬を入れられ、深い眠りに落ちた。
とうとう私は宇宙にはいけなかった。
娘は、数日ICUに入ったものの元気に生まれてくれた。
帝王切開は、麻酔をして、痛くない、楽なイメージがあるかもしれませんが、痛いです。痛かったです。
手術中も痛いし、終わってからもしばらく痛かった。
宇宙には、行けなかった。
それでも、無事に生まれたからね。
娘の頭の大きさは、少し大きかったので、やっぱり帝王切開で産んで良かったそうです。
あの時の主治医じゃないドクターに感謝です。
ありがたい。
やっぱり、私はツイテル。
というわけで、ちょっと長くなってしまいましたが、娘の出産のお話はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。
たくさんの幸せをありがとうございます😊
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