うちの制服は賢気に見えた
外出先で母校の制服を見た。
昔とデザインが変わり、今は今で可愛い。
わたしが高校へ入学した当時は、
この制服を着るために頑張って入試を突破した子もいて、憧れの位置にあった。
校則が緩い高校で、ネクタイをだらしなく結い、
胸元までシャツのボタンは開けていた。
人によってはスカートの長短があれど、制服を着て歩くと可愛いだの頭が良さげだの良い評価をされ、
わたし自身もほんのり優越感があった。
ほんのりなのは、友達も同じ高校へ入学し、
制服を特別視しておらず、
わたしが小さい頃から、○○高校へ進学すること。
叔父や親戚は卒業生で、とりあえず入学すればいいぐらいにしか考えてなかった。
しかし、他校の制服より垢抜けしているデザインは
伝統を残しつつ賢く見えたのは否めない。
今でこそ珍しくはないが、昔はスタイリッシュだった。
大学受験で制服を着用して会場へ行くと
「やっぱ、うちの制服ってオシャレ」
誇らしい気持ちを友達に話し
「分かるよ。人が憧れるだけあるね」
校舎はボロだけど、制服はいいねと笑い合った。
わたしが卒業し、長期の休みで駅から出てくる在校生を目撃すると
「だらしない着こなしはやめてよ」
制服は規定通りに着るのが美しいなど、身勝手な理論を頭の中で振りかざし、残念な気持ちになった。
わたしだってタイやボタンを緩めていたのに。
なんなら夏は、スカートからシャツを出してヘソを見せて歩いていたのに。
卒業すると、母校への愛が深まるとは予想打にしなかった。
いつ頃からだろう。
街で見かける高校生はスカートを膝丈にし、正しい着こなしをする子が一般的になっていた。
都内の制服を改造して着る子が田舎のヤンキーに見えた。
制服の着こなしは神戸が基準で、神戸から流行が拡大していくのだと読んだ覚えがある。
神戸の生徒たちは、まともさがオシャレと拡散させたのか不明だが、わたしはとても満足していた。
素は可愛い、そのままが「可愛い」
10代なんぞ、生きてるだけで可愛いんだよ。
今夏は、『ちいかわ』と『ミッキーマウス』
主に色違いのミッキーTシャツを着て過ごした。
肌寒くなり、半袖をクローゼットの奥へ納めながら
長袖のディズニーキャラクターのパーカーや長袖を出す。
すっかりキャラクターものが、わたしの制服になった。