エッセイ: わたしのタモリ論
うちの母はタモリさんが好きだ。
同じ九州の人で、年齢が近いのもある。
なにより、出しゃばらないのが理由らしい。
わたしも出しゃばる人は苦手で、
オレがオレが、アタシがアタシが、と人様を押しのけて目立とうとする人と相性が悪い。
最近感じたのが、わたしは人見知りというより後ろに控えていたい。
おとなしく壁際に立って様子を見ているのが性に合うんだと気づいた。
目立ちたがり屋から言わせれば、わたしのような人間は気取った冷たいヤツに見えるとかで、
そのくせ、いつの間にか目立っているから腹が立つと学生時代に聞いたことがある。
こっちだって目立ちたいなど思っとらん。
目立ちたい人の足を引っ張ったことはなかろ?
……と反発したくなる。
タモリさんに対して烏滸がましいのだが、
性格的な属性がわたしと同類だと思う。
こよなく普通が好きで、普通の良さがどれだけ貴重か。自らの経験や他人の姿から感じる。
ネットには書けないわたしのプライバシーを根拠にしても、タモリさんとわたしは属性が同じに感じる。
普通が好きだから、普通にしているだけで褒められると、誇らしいより「なんか違う」
自分にとって面白いことや楽しいことをやっているだけ、そうある方が負担にならないからそうあるだけで、特別な努力をしてないものもある。
逆に懸命に頑張ると成果がでにくい。
そこはタモリさんから聞いたことがないけど。
仕事や健康面で必要に迫られ、
やっていたらストイックになっただけ。
自分が楽しいから。
『ブラタモリ』などを観ていると、
タモリさんは物知りですね。凄いですね、など褒められている。
恐らくだが、単になんとなく面白そうだから文献を読んだり、深掘りしてみたぐらいで、
「物知り」の褒め言葉はむず痒くなるのではないかと思う。
内心、
「この程度しか知らん。もっと知りたいけどな」
タモリさんの番組を拝見していると、
タモリさんは群れない人で、少人数で同じ趣味や嗜好が合う同士が語り合っているように感じて。
『笑っていいとも!』や『Mステ』のとき、
特に『タモリ倶楽部』で、それは伝わってくる。
人間関係は広いとしても、
団体で動き回るのは好かん。
寧ろ、団体の気持ち悪さを知っているかのようだ。
わたしは団体なり集団を好まない。学生時代は集団にいたが、勝手に周りへ人が寄ってきた。
こちらから入っていかない。
タモリさんの実態は知らないが、
タモリさんから暴力の噂、モラハラをしたなど、一切出てこないのではないか。
周囲の芸能人は『タモリ組』を作りたがっても、
タモリさんが拒絶するような、ナチュラルに一線を引いていたのではないかと思う。
仲が良い人は赤塚不二夫先生や山下洋輔さんなど
個人対個人としてお付き合いがあっても、
けしてタモリ軍団など率いてしまう発想がないと、言い切っていい。
人間も生き物。群れで生きなければならないとしても、それは仕事でチームが必要なだけで不要なグループを作らないのは、群れの凶暴性を知っているからではないかと。
タモリさんは幼い時期に片目を失明し、困難がある中で体得したのではないかとわたしは推察している。
わたしが群れを嫌うから、タモリさんへ自分の気持ちを投影しているだけかもしれない。
しかし、タモリさんから悪い噂が出ないのはそういうことだと思う。
わたしから見える集団や団体は、
カルト宗教となんら変わりがない。
集団はときにハラスメントが恥ずかしくない。
暴力に走るお笑いや気に食わない会社などへ実力行使へ出る。
「みんながしているから」
黙認されていると、不倫をしたり性的搾取も悪事だと認識しない。
群れの掟や忠誠心が法律や倫理より優先されて、
異常性癖の集団に変わる欠点がある、
一種のカルト宗教教団みたいに見えてくる。
実害がなくても外野からは、
集団結婚式にいる人、壺や印鑑を売りつける人、
胡散臭い話へ涙を流す人に見えている。
集団にいたらカルト宗教教団をどう見てるのか分からないが、
タモリさんは自然に人生の時間は有限だと判り、
団体行動とは、自由を奪われ人間関係に疲れるのを知っているように思う。
ひとりの方が自由奔放で気楽。
語り合える人がいれば、それもよし。
そういった心構えでいると、
集団での攻撃に加担しないので集団と適度な距離を置くことはできる。悪行に走る要因は減る。
ダチョウ倶楽部にいらした、故人の
上島竜兵さんのようにしっかりした軸がないと、
欲に暴走しやすい。
タモリさんには赤塚不二夫先生が、
上島さんには志村けんさんが、
自分のやったことへ責任が取れる“師匠”がいて、
彼らは自分の人気に驕ることなく、謙虚さと学習する力があったのではないかと分析している。
番組を網羅した訳ではないが、
タモリさんから過激な政治的発言や差別発言を聞いたことがない。
頭ごなしに人を否定しない。
他者の話を傾聴し、教養の小ネタで返す。
とにかく人を立てる人。
タモリさんにおいては、音楽や読書など自分の好奇心を満たしながら、基本は孤高の人ではないかと思っている。
もちろん、タモリさんへ決めつけはしない。
あくまでも、わたしが感じたこと。
わたしにしてみれば、理想の人物像であり、
タモリさんみたいな人になりたいし、将来は婚姻など関係なく、タモリさんみたいな性格のかたをパートナーに選びたい。