![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/174099350/rectangle_large_type_2_ec56b59e20f1d3682fff4b1501b4e12e.png?width=1200)
Photo by
hidemaro2005
掌編:アンジャッシュのネタかよ
絶対『書庫冷凍』に聞こえたが、聞き返すのも悪いので、話を合わせておいた。
「人気がありそうですもんね」
「だから管理に困るんですよ。
レア物ならそうなるよね」
なるほど。
歴史的書物を冷凍して保存するのは、低温だと湿度が低いからか。
だけど、冷凍までしなくても。
「大変ですね」
「でしょ? 人気がある本はね」
書庫ごと冷凍庫にするって、電気代がバカにならんわ。
夏のある日、書庫冷凍を思い出した。
書物には興味がないけど、書庫は涼しそうで一気に暑気払いできそうだと考えた。
電話してみる。
「今から行っていい?」
ヤツは
「ショコレートに興味があったの! 嬉しいねぇ」
興味があるのはキンキンに冷えた室内ね。
ヤツの職場には冷凍庫らしきものがなく、
ウキウキ顔で紙の束を渡される。
「書庫冷凍ってどれのこと?」
「だから、それだよ」
「これ?」
よく見ると、図書館の回転率のことだった。