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ミニマリストへの憧れ「方丈記」
日本最古の随筆鴨長明の「方丈記」。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
有名な冒頭の一文を目にしたのは、高校の古文の授業以来。だけどこの一文でざわついていた心がピタッと静まりました。
全てのものは移り変わり、とどまることはない。
いいことも悪いことも永遠に続くものではない。
世の中は移り変わっていくのだから、
自分もずっと同じでなくてもいいんじゃないの。
こうしなきゃ、あぁしなきゃ、と自分を縛っていた紐を
少し緩めるきっかけになりました。
世の中を憂うのは、今も昔も同じ。
火事や地震、竜巻など自然災害も多く、政情も不安定。
人々の暮らしも貧しく、飢饉で飢え死にする人も絶たない。
立派なお屋敷もいつの間にか落ちぶれて消滅している。
身分の高い人でも気づけば物乞いをしていたり。
そのサイクルは現代よりもずっと早い。
ずっと続くものなど何もない。世の中全てが変わりゆくのだ。そんな心境に至っての冒頭文。
「とかくこの世は生きづらい」嘆く長明さん。
人との繋がりは有り難いけれど、時には煩わしく、我慢も増えます。かといって孤立していると変人扱いされてしまう。
富と権力があると欲深くなるし、失うことを恐れてしまう。貧乏であれば嫉妬心が強くなる。
隣近所との付き合いや人の目を気にする生活にうんざりだったのでしょうね。
心を安らかに保てる暮らしがしたいと
悩むのは現代も同じですね。
長明さんは五十歳で出家し、六十歳で山の麓に自分だけのはかない住居を作ります。
「方丈」といい、約3メートル四方の四畳〜六畳間の広さ。今で言えばダンボールハウスのような簡易さで、点々と移住していたそうです。
方丈庵で自然と共に寝起きし、一人気ままな生活。
しがらみから離れて、身一つで生きていければいいなと憧れはありますが。
寂しさや不便さもあるのだろうなと考えると、なかなかできないですよね。
実業家の中野善壽の「ぜんぶすてれば」も
現代版「方丈記」鴨長明のスピリットそのものです。
中野さんは、自由な発想と個性的な人柄で多くのビジネスも成功しておられますが、
収入は、最低限の生活費以外は寄付して、財産も住居も車も持たず、友達づき合いや家族も持たない。
「今の自分」だけが将来を作る。だから今の自分を妨げるものは全て捨て、自然体でいれば執着もなくなる。
と考えておられます。
結局、大抵の悩みは、執着から生まれ、
執着の元を辿ると周りの人の目、世間体なのですから。
中野さんも
世の中に安定はない。常に流れるのが自然の摂理。
そんな世の中で必要になる力は、
安定を求める心ではなく、変化に対応する力。
冷たい風を一瞬感じて立ち止まる力。
そして、足先の方向をクルッと変えて、
また颯爽と歩き出す力。
ミニマリストに憧れながら、なかなか断ち切れない私たち。この世を生きるために、最低限の身につけておきたい力ですね。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
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