NICU⑰|天下取りの線
再び息子のいるNICUへ。
引き続き眠っており、夫婦で静かに見守っていたが、一つ気になる経過を確認した。
それは「左手の炎症」である。
実は先日、点滴交換の際に「造影剤」が微量ながら漏れ、左手にかかってしまい、パンパンに腫れてしまっていた。
これに関しては、医療ミスとまでは言わないものの、医療チームからも謝罪があり、皮膚科の診察と処置が即日行われ、数日経過を見ている状況だった。
そしてこの日、グルグル巻きだった包帯がようやく取れたため、改めて確認したという背景がある。
(※失念していて記載できず… 出来事としては「⑭~⑮」の辺り)
改めて見てもピークの時よりは、だいぶ腫れは引いていた。
しかし、手の平の写真を撮ってみると、
「あれ、『ますかけ』じゃない?」
と、息子の左手の手相が「ますかけ線」だということに気づく。
ますかけ線と言えば、「天下取り・成功・強運…」などと謳われる。
(他の手相と同じように、 “左=先天的、右=後天的” らしい…)
私自身、そこまで手相に拘るわけではないが、 “縁起の良いこと” はやはり嬉しい。
そして、両手がますかけだと「100人に1人」ということだったので、気になって右手も見てみたが、そちらは違った(笑)
しかしながら、 “左手だけ ますかけ線” という事実に、逆に私は興奮した。
なぜなら「私と全く同じ」だからである(笑)
私も “左手だけ ますかけ線” であり、改めて息子のをまじまじと見てみると、ほぼ私と同じ手相。
(こういうところにも「遺伝」って出るのか…)
と、全く持って意識していなかったところに、自分の遺伝要素を見いだし、ほくそ笑む私。
その後もしばらく、手相で盛り上がっていたが、少しして息子がぐずり始めた。
二人で頭を撫でたり、手を握ったり、声もかけながら息子をあやすが、まだまだぐずる。
そして段々と、本泣きになってきたので、妻が「抱っこ」することに。
母親の腕の中に入ると、やはり落ち着くようで、少しばかり静かになった。
しかし、妻が息子のお尻に手を当てた瞬間、
「(≧Д≦)!?」
と、一瞬で “苦悶の表情” に切り替わり、再び泣き始めた。
「絶対『うんち』だ!!(笑)」
すかさず妻が看護師に伝え、ベッドに移動させて一旦確かめてみることに。
そして、おむつのテープを剝がし、前面を開いてみると、予想通り「うんち」をしていた。
妻曰く、抱いて割とすぐに “おならのような音” が微かに聞こえたようで、おむつのサインを見たら色も変わっており、その時体勢を変えようとしてお尻に触れたら、その瞬間に泣き始めたため、確信を持っていたとのことだった。
「『気持ち悪さ』もちゃんと伝えてくれるんだね~ 偉いね~」
と、看護師も一緒になって息子に声を掛ける。
「意志疎通」という段階ではないのかもしれないが、 “自分の意志を赤ちゃんなりに表現していること” に感心させられる。
しかしながらその反面、私としては “考えさせられること” もあった。
それは、私たちが想像する「新生児のうんち」ではなかったということ。
看護師曰く、薬の投与の影響ということだったが、息子のうんちは “真っ黒の小さな粒” であった。
息子も極力、鼻からの点滴で母乳をあげて栄養補給をしているものの、通常の新生児の食事とは異なる。
三日後に迫る手術を乗り越え、順調に回復していく中でようやく通常の食事となり、そして「健全な排泄」が出来る。
排泄一つとっても「息子は懸命に闘っている」ということを改めて認識した瞬間であった。
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