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著…ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ 訳…BOOKS桜鈴堂『カーミラ』

 この小説の舞台はオーストリア。

 名士の娘ローラは、ある日謎の美少女と出会います。

 それから12年もの月日が流れた後、ローラはあの日出会ったのと全く同じ姿をした令嬢と再会します。

 彼女の名前はカーミラ。


 ⭐️Kindle版

 ⭐️ペーパーバック版


 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。


 とても華奢で可憐。

 明るく振る舞う姿や声が、人を虜にする。

 けれど、ふとした時、どうしようもないほど悲しい表情をたたえている…。

 そんなカーミラにローラが惹かれていくのは無理もないこと。

 わたしも、この小説を読み進めるほど、ローラに共感し、カーミラに魅了されていきました。

 そして2人の友情が続くようにと応援しました。

 しかし、次第にローラとカーミラとの間に決定的な違いがあることが判明。

 だんだん、2人の間にあるものが友情なのかそれとも恋愛感情なのか分からなくなっていきましたが…。

 賛美歌がふいに聴こえてきただけで、顔が蒼白くなって、身体中が震え、苦しみ続けるカーミラのことを、わたしもローラと一緒になって心配しました。

 まだカーミラの正体に気づいていないローラが、

 「ねえ、カーミラ」
 「いつか何もかも話してくれる?」
 「答えてくれないの? 嘘をつきたくないから答えられないのね。そんなこと訊いちゃいけなかったのかしら」

(著…ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ 訳…BOOKS桜鈴堂『カーミラ』から引用)


 と尋ねた時にカーミラが返した、

 「そんなことないわ。何だって訊いてよくてよ。あなたがわたしにとってどんなに大切な人か、あなたにはわからないのね。(中略)もうじき何もかもを打ち明ける時がくるわ」

(著…ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ 訳…BOOKS桜鈴堂『カーミラ』から引用)


 という言葉に胸が苦しくなります。

 カーミラは加害者でもあり被害者でもありますから…。

 わたしはその「何もかもを打ち明ける時」が来て欲しいような来て欲しくないような、複雑な気持ちでこの物語を読み進めていきました。

 残念ながらどんどん不穏な展開になっていったけれど…。

 ローラとカーミラとはまた別の人物たちの苦悩も痛いほど伝わってきます。

 結末は怒涛の展開。



 〈こういう方におすすめ〉
 怪奇小説が好きな方。
 百合テイストが苦手ではない方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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