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作…斎藤隆介 絵…滝平二郎『モチモチの木』
優しさとは?
愛とは?
といったことに気づかせてくれる本。
※注意
以下の文は、結末までは明かすネタバレを含みます。
未読の方はご注意ください。
この絵本の主人公は、豆太という男の子。
豆太はおじいさんと二人暮らし。
とっても怖がりなので、おじいさんと一緒でないと、夜中に一人でせっちん(トイレのこと)にも行けません。
ところが、真夜中におじいさんが急病になってしまいました!
豆太は泣きながら裸足のまま走り出します。
医者を呼びに行くために。
真っ暗な夜道よりも、大好きなおじいさんが死んでしまうことの方が、ずっとずっと怖かったから。
無事に医者を連れて来た豆太は、
ひとりのこどもしかみることはできねえ それもゆうきのあるこどもだけだ。
と以前おじいさんから教えてもらった、モチモチの木のひかりを見ることが出来ました。
…というストーリー。
誰かのためなら、こわいものを克服できる。
豆太の優しい心にハッとさせられます。
また、こわいものよりも、愛する人を失う方がずっとずっとこわいことだ…ということにも気付かされます。
さて、気になるのはモチモチの木のひかりの謎。
後で、医者が豆太に、
あれはトチの木のうしろに、ちょうど月がでてきて、えだのあいだに星がひかってるんだ。そこに雪が、ふってるから、あかりがついたようにみえるんだべ。
と、あっさりネタバレしてしまうのですが、わたしはおじいさんも医者同様、この現象の真実を知っていた上で豆太に話をしたのだと思います。
勇気があっても無くても、雪の時期が来れば見られるし、大人でも子どもでも関係なく見られるひかりだ、ということを。
けれど、おじいさんが豆太に「ひとりのこどもしかみることはできねえ それもゆうきのあるこどもだけだ」と話しておいてくれたことで、どれだけ豆太に自信がついたことでしょう。
さりげなく自信をつけてあげて、いつかは自立できるようにする。
これって愛ですよね。
おじいさんは元気になった後、豆太にこう言いました。
じぶんで じぶんを よわむしだなんて おもうな。にんげん、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ。
おじいさんの優しさに、わたしは読んでいて思わず涙しました。
この絵本は、また豆太がおじいさんを真夜中にせっちんに起こすところで締めくくられるのですが、それもまたいいなぁとわたしは思います。
だって、子どものうちですものね。
おじいさんに甘えられるのは。
年齢差を考えたら、これから先何十年も一緒に暮らせるわけではありませんし。
今のうちに思う存分甘えて欲しいです。
いつか、豆太が優しい大人になるまで。
〈こういう方におすすめ〉
優しさや愛について感じる機会が欲しい方。
〈読書所要時間の目安〉
20分くらい。
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