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文・画…蕗谷虹児『花嫁人形』

 しんとした夜明けにゆったりと読み返したくなる叙情的な詩集です。

 大正・昭和レトロな装丁も含めてとても素敵。

 読み終えた時に心地よい余韻が残って、無性に人恋しくなります。


 ⭐️ペーパーバック版


 わたしが特に好きなのは、『萌芽』と題された作品。

 わたしは なんにも 言へなんだ
 あの子も なんにも 言はなんだ
 ふたりは だまつて 花つんだ。

 蝶々は 二翅して 舞ひ舞ふた
 小鳥は 二羽きて うた歌た
 雄花に 雌ばなが 咲いてゐた。

 あの子は だまつて 花くれた
 わたしも だまつて 花やつた
 わかれは さびしい ものだつた。

(文・画…蕗谷虹児『花嫁人形』P20〜22から引用)


 たぶん他の生き物とは違って、単に「好きだから」という理由だけだけでは一緒にいられない人間という生き物の哀しみがうたい込まれている気がして、グッときました。

 言葉ではなく花を交わしたというのも、切なくて素敵。

 「あの子」と「わたし」がいつか再会できますように…。


 〈こういう方におすすめ〉
 美しい詩集をお探しの方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間〜1時間半くらい。

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