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ぶん…はまだひろすけ え…いけだたつお『ないたあかおに』

 友達って何だろう…と考えさせてくれる絵本。


 幼い頃、わたしはこの絵本を読む度、

 「あかおににとっては、あおおにの方が大事だったろうに。どんなにたくさん新しい友達が出来たって、一番大切な友達がいなくなってしまったら、あかおには不幸せかもしれない。実際、悲しそうだし」

 と悲しい気分になりました。

 大人になった今、この絵本を読み返して、わたしは幼い頃の感想に加え、こんな想像をしました。

 もしかしたら、あおおにもあかおにと同じように「人間と仲良くなりたい」という願いを抱き続けてきたのかもしれない…という想像を。

 だからあおおには「僕らは鬼だ。人間は仲良くなれないよ」などとは言わなかったのかもしれません。

 けれどあおおには、鬼。

 人間は鬼を恐れます。

 あおおには「暴れている鬼を鬼がやっつければ、鬼をやっつけた鬼は人間と仲良くなれるのではないか」という考えを、かつては自分のために思いついたのかもしれません。

 けれどあおおには優しい鬼。

 他の鬼に憎まれ役をさせることが嫌だったのかもしれません。

 だからこそあおおには、あかおにに協力したのかもしれません。

 優しいあおおには、自分が憎まれ役になるなら構わない…自分が抱き続けてきた願いをあかおにには叶えて欲しい…そう思ったのかもしれません。

 たとえそれで、あかおにと離れ離れになったとしても。

 あくまでわたしの勝手な想像ですが…。



 この絵本の続きは、読む人の想像に委ねられているようにわたしは思います。

 だから、わたしは更にこう勝手な想像をします。

 あかおにと仲良くなったことで鬼に対する恐怖心が無くなった人間があおおにを見つけ、「あなたもみんなと友達になろうよ」と誘ってくれて、あかおにや人間たちのところにあおおにもやってくる、というラストを。

 そうしたらあおおにも人間と仲良くなれそうですもの。

 そうしたらもう、あかおにも、あおおにも、もう寂しくありませんから。



 〈こういう方におすすめ〉
 切ない絵本をお探しの方。

 〈読書所要時間の目安〉
 20分くらい。

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