監修…村田右富実 助手…阪上望 絵・文…まつしたゆうり 文…松岡文、森花絵『よみたい万葉集』

 万葉集の歌は約4500首もあるので全てを読むのは大変。

 この本には淡く優しげなイラストが添えられ、会話形式や新聞形式など様々な方法で歌の内容や時代背景等を解説してくれるので、歌を声に出しながら楽しく詠むことが出来ます。

 作者が誰なのかも分からないほど昔々の歌なのに、そこに詠み込まれたであろう気持ちに現代人も共感出来るのが不思議…。

 好きな人のことを考えて眠れなくなったり、やきもちを妬いたりする人の心は、いつの時代も変わらないのでしょうね。

 特にわたしがグッとくるのは、

 「夢の逢ひは 苦しかりけり おどろきて 掻き探れども 手にも触れねば」
 〔大伴家持〕

 〔夢の逢瀬は苦しいものだ 目が覚めて掻き探っても 君が手にも触れないから〕
 (P64から引用)

 という歌。

 夢ってとても切ないですよね。

 一度目が覚めてしまったら、夢の続きを見ることは決して叶わないし、それが夢に過ぎなかったという現実を嫌でも突きつけられてしまうから。

 この歌はそういう寂しさも感じさせつつ、激しい恋の物語を想像させてくれますね。

 また、この本の中で、スズメやハトや蝶の歌は万葉集の中に一つも無い、ということが書かれていて、わたしはとても驚きました。

 身近な生き物過ぎて当時の人々が敢えて誰も歌に詠まなかったのでしょうか?

 或いは、そういう歌は実際は存在したのに偶然にも編纂者が選ばなかったのでしょうか…?

 とても興味を惹かれます。

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