著…岡田よしたか『うどんのうーやん』
うどん屋さんが余りに人手不足のため、なんとうどん自身が出前先まで走らないといけない、というストーリーの絵本。
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
主人公はうどん。
その名も「うーやん」。
うーやん、ちょっぴりうっかり屋。
うーやんが慌てて店を飛び出してしまったので、うすあげとねぎとお箸がその後を追いかけてきます。
うすあげとねぎとお箸と無事に合流したうーやんは、ダッシュで走る途中で、これまた自力で出前先へ向かうカツ丼とお寿司に出会い、「きみとこもかー」「おたがいたいへんやなあ」と挨拶を交わします。
…きょうびはどこも色々大変なんですねぇ。
人手不足も極まれり。
ところが!
うーやん、とんでもないことをやらかします。
うーやんは出前先まで急がないといけないのに、「もう三日も食べてへんねん」と目を回している痩せたねこと偶然出会い、「ちょっとこのうどん食べ」と、ねこにうどんを食べさせてしまったのです!
まるでうどんがアンパンマンのようだ!
この善行により、うーやんの中身は半分になってしまいました!
「おいおい、出前はどうすんだ! ジャムおじさーん! 新しいうどーん!」と、読み手としては叫びたくなります。
とはいえ、人道的に考えればこのうーやんの行為はとても良い行いです。
ねこに食べ物を分け与えるのが、人情というものでしょう。
…いや、うどん情か。
しかし…出前はどうする気なのでしょうか?
うーやん、悩みます。
うどんの麺と麺を絡めることで、腕組みをして悩む人間のような感じになります。
悩んだうーやん、これまたとんでもないことをやらかします。
…続きが気になる方は、是非読んでみてください。
困った人を助けるのは当たり前、出来るかぎり多くのみんなを受け入れます…といううーやんのスタンスが素敵!
また、川の前では「わたるしかないやろ」、山の前では「……のぼるしかないやろ」と覚悟を決めるうーやんも男気があってかっこいいです。
なんという男前!
うーやんに多分性別はないけれど。
この絵本を読んでいたら、なんだかわたしも出前を取りたくなってしまいました。
…出前そのものが走って来ないことを祈りつつ…。
ちなみに著者の作品には『ちくわのわーさん』もいるわけで…。
…どうしよう、ピザのピーやんとか、牛丼の牛やんとか、ハンバーガーのバーさんとかがやって来たら…!?
↑ ちなみに『ちくわのわーさん』のレビューはこちら。
〈こういう方におすすめ〉
シュールで愉快な絵本を読みたい方。
〈読書所要時間の目安〉
20分くらい。