著…グレン・サリバン『海を渡ったスキヤキ アメリカを虜にした和食』
陽気な感じの表紙なので、てっきり最近の外国における和食文化についてのグルメ本かと思いきや、中身は違います。
アメリカに渡った日系移民たちが、母国とは全く異なる新天地の生活環境に戸惑いながらも、我慢や工夫を重ねて生き抜いた歴史が紹介されています。
淡々と事実を述べる文章だからこそ、まるでドキュメンタリー映画を観ているかのような感覚で読める本です。
例えば、明治維新の恩恵を受けられず貧困に苦しむ日本の人々がアメリカへ出稼ぎに行った時。
●アメリカにはかつおぶしも昆布も椎茸も無いので、ベーコンにお湯を加えてスープを作った
●小麦粉で作った団子を入れた「アメリカ版だんご汁」を誕生させた
●小麦粉をフライパンで焦がし、お湯を加えて塩と砂糖を混ぜ、見た目だけは醤油そっくりな「エセ醤油」を作った
●あまりの寿司恋しさから、缶詰の鮭を酢漬けにして「鮭寿司」を作った
以上のように、人々は慣れ親しんだ日本の味を求めて、少ない材料で料理を試行錯誤したのだそう。
帰りたくても帰れない懐かしい故郷の味に対する、狂おしいまでの切望が伝わってきます。
この本を読んでいたら、「新型コロナウイルスの第8波もあるし、物価も上がったので、なかなか気軽にスーパーへ行けないわ」と嘆いていた自分のことが少し恥ずかしくなりました。
「手元にある物でとことん工夫する」という先人のスピリットを見習い、出来る限り冷蔵庫にある物でお料理したいと思います!
また、激しい「日本人差別」に苦しんでもなお歯を食いしばって生き抜いてきた先人たちの根性に感銘を受けました。
今も日本人差別は根強いけれど…、かつての差別は本当にえげつない。
それを耐え抜いた先人たちを尊敬します。
また、わたしはこの本と出会って、「わたしは日本人なのに日本人の歴史を全然知らないんだな」と改めて気づかされました。
これから勉強していきたいです。
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