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著…太宰治 絵…ねこ助『魚服記』

 主人公・スワを取り巻く様々な「死」が描かれている小説。

 暗めのイラストが相まって、不穏な雰囲気が渦巻き、先が気になってつい一気に読んでしまいます。

 スワの身に何が起きたのかはっきりとは書いてはいないのに、読者に事情が伝わる文章力が凄い!

 読後感は決して良くないけれど、太宰好きには避けては通れぬ作品。


 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。


 まだ幼いスワが偶然見てしまった、滝に落ちた学生の「死」。

 スワが子どもから少女に育つ際の、子どもとしての「死」。

 ちっとも売れない茶店を閉める時の、店の「死」。

 父娘関係の「死」。

 少女から女へ移行する、少女としての「死」。

 そして…。

 物語はゾッとする結末を迎えます。

 …こうして読むと、スワに限らず、誰もが日々、「死」を経験しているのかもしれませんね。

 同じ自分のつもりであっても、昨日までの自分はもういないのです。


 

 〈こういう方におすすめ〉
 いわゆる「イヤミス」のような、後味の悪い小説が好きな方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間半くらい。

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