著…片桐はいり『もぎりよ今夜も有難う』
ご本人もあとがきでおっしゃっている通り、この本を読んだら、片桐はいりさんの名前が「映画館もぎり」にしか見えなくなります。
映画は勿論、映画館が好きだ! という人にはたまらないエッセイ。
片桐はいりさんって、俳優になる前はもぎり(映画館でチケットを切ってくれるスタッフのこと)をやっていたのですね。
俳優になってスクリーンに映る側になった後も、趣味で時折もぎりをやっていた。
本当に映画を、そして映画館を愛しているんですね。
「映画館出身」、或いは「映画在住の俳優さん」と呼んだら楽しいかも。
片桐さんは映画でもドラマでも、一癖も二癖もある役を演じていて強烈な印象があるので、片桐さんがもぎりをする時たまたま映画館に来たお客さんは「えっ? 気のせいかな、映画の中で見た人がチケットを切ってくれたような…???」とすぐに気づき、頭上に???マークを点滅させたかもしれませんね。
その光景を想像すると楽しい!
なお、片桐さんは、
とおっしゃっています。
この本が出版された後も、実は日本のどこかの映画館でチケットをもぎっているのかもしれませんね。
いいなー、わたしも片桐さんと遭遇してみたい!
(この本の各エピソードには映画にちなんだタイトルが付けられているので、それを意識して映画『未知との遭遇』と引っかけてみました)
最近わたしは自宅にてNetflixやPrime Videoで映画を観ることが多く、映画館には久しく足を運んでいないのですが、このエッセイを読んでいたら、どんどん映画館に行きたくなってきました。
同じ映画を観るにしても、映画館ではまるで映画の世界に溶け込んでいるかのような感覚になれますから。
あれって何なのでしょうね?
あの、映画館でしか味わえない没入感と、えも言われぬ哀愁って。
それについて、片桐さんはこう書いています。
と。
同じようなことを、わたしも以前映画館で感じました。
特に、映画本編が終わって、エンドロールが流れている時に。
もうすぐ映画という名の夢は必ず醒めてしまう。
でもまだ醒めて欲しくなくて座席から立てずにいる。
いつまでもこの時が続けば良いのにと願っている。
そんな時に。
…あー、映画館に行きたくなっちゃった!
さて、何を観ようか。
〈こういう方におすすめ〉
映画も映画館も大好きな方。
〈読書所要時間の目安〉
2時間半くらい。