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著…井戸まさえ『無戸籍の日本人』

 こんにちは。

 生きているにもかかわらず戸籍上は存在していない方たちについての本をご紹介します。

 事情は様々。

 たとえば、「父親であるということが法的に推定される男性」と「実際の父親である男性」が違うせいで戸籍の登録がうまくいかず、それが解決するまでは無戸籍…というケース。

 「自分の母親も無戸籍だった。母親は自分を産んですぐ亡くなり、父親が誰なのか分からない。自分を育ててくれた人がいたが、その人がどんな素性の人だったのかも分からないし、その人も亡くなってしまった」というケース。

 性同一性障がいで性別変更をした男性が結婚し、第三者から精子提供を受けた妻が妊娠したけれど、生まれた子どもの父としての届け出を認めてもらえず、子どもが無戸籍になってしまうケース。

 他にも様々なケースがこの本の中で紹介されています。

 わたしは戸籍があるけれど、それはたまたま運が良かっただけのことで、戸籍が無くて困っている人は世の中に沢山いる、見て見ぬ振りは出来ない、とこの本を読んで気づかされました。

 戸籍がないということはデメリットだらけ。

 戸籍がないので住民票を作れず、義務教育を受けられず、健康保険証が作れないので医療費は自己負担、選挙権もなく、銀行口座を作ることも携帯電話の契約も出来ず、身分証を提示できないので就職にも困り、妊娠しても母子手帳を貰えない…、苦労を挙げたらキリがありません。
 ※この本が出版された2018年当時

 昔と比べれば、現在は社会保障についての改善が見られているようですが、現状としてはまだ大変なようです。

 ちなみにこの本の著者は、我が子が一時、無戸籍状態となってしまった経験をお持ちだそうです。

 長い別居を経て前夫と離婚し、その後再婚して現夫との子どもを早産したら、市役所の方が「離婚のペナルティです」と言い、前夫を父親とする戸籍を職権で作ろうとしたため、裁判を起こし、我が子が現夫の子どもであるという戸籍を勝ち取ったそうです。

 …「離婚のペナルティ」って一体何ですか…!?

 なんて冷たい言い方…。

 わたしは市役所職員ではありませんが、いわゆる「戸籍を売った人」(お金と引き換えに他人が自分に成りすますことを許す)」のサポートの仕事をすることも稀にあります。

 人のふり見て我がふり直せで、もともと困っている方の心を更に傷つけないよう、わたしも言葉の選び方や態度に配慮していきたいと思います。

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