著…西加奈子『まにまに』
何度でも読み返したくなるエッセイ。
クスッと笑えるエピソードが、これまた面白い語り口で書かれています。
けれど、単に面白いだけではありません。
⭐️単行本版
⭐️文庫本版
という言葉に、わたしはとても共感しました。
本当にそうですよね。
普段は日常を生きるのに精一杯で、自分を見つめることは容易ではないけれど、旅に出ると嫌でも思い知らされます。
自分が誰でもないことに。
旅をすると、いつもいる世界から解放されるし、知らない土地で知らない人たちと出会えて、新たな発見も出来るから、とても楽しみなのだけれど。
旅の最中ならではの孤独ってありますよね。
なんでしょうね、あの感じ…。
「異邦人」と呼ぶべきか、自分が「幽霊」になったとたとえるべきか、分かりませんが…。
うまく言葉では言い表せない、あのぽっかりと穴の空いた感じ…。
まさに「なにものでもない」。
誰も自分を知らないし、知ろうとも思わない。
それに自分も、自分が何ものなのか分からない。
恐らく、一生をかけて自分が何なのか探し続けることになるのでしょう。
それは寂しくもあるけれど、同時に、希望でもあります。
今の自分は誰でもない。
だから、これからどんな自分にだってなれる。
そんな気がするから。
きっと旅はそれを確かめる行為でもあるのでしょう。
また、わたしはこの本の中で、
という文章にも見惚れました。
なんて美しい希望の光…。
〈こういう方におすすめ〉
気楽な感じで読めるけれど、単に面白いだけではなく、人生に必要な気づきをくれるエッセイを読みたい方。
〈読書所要時間の目安〉
1時間くらい。
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