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Photo by
inagakijunya
著…江戸川乱歩 絵…粟木こぼね『悪霊物語』
現実と夢のはざまに迷い込んだかのような気分を味わえる怪しさ満載の小説。
イラストとの相性も良く、冒頭からすぐに読者の心を現実から解き放ち、奇妙な世界へと誘ってくれます。
戻って来られなくならないように、どうかご用心を…。
⭐️Kindle版
⭐️単行本版
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
ある夜、ひとりの小説家が「バテレンじじい」と名乗る人形師の秘密のアトリエにやって来ます。
老人は嬉々として語り始めます。
チュソー夫人の蝋人形館の話を。
ホフマンの『砂男』に登場する「オリンピア」の話を。
ジェロームの『ダンス人形』の話を…。
小説家は興味を惹かれて、老人にどんどん質問をします。
やがて、老人は自分の手に石膏を塗って型をとった作品を見せてくれました。
小さな皺の一つ一つやしなびた色合いも表現されていて、老人の手と見比べてみても、どちらが本物の手か分からないほどの仕上がり。
老人は、全身の型をとるのもこれと同じ理屈だという話をしました。
それをきっかけに、小説家は老人にこう尋ねました。
「では、ほんとうの人間からとった全身人形も造ったことがあるのですね」
と。
老人は「ありますとも」と即答し、小説家を秘密のアトリエの奥へと案内しました。
…続きが気になる方は、是非読んで確かめてみてください。
読む人によって如何様にも解釈出来るストーリー。
「もし自分が続きを書くならどんな展開にするだろうか?」という想像も楽しませてくれます。
これだから乱歩を読むのはやめられません。
〈こういう方におすすめ〉
怪奇と幻想の世界がお好きな方。
〈読書所要時間の目安〉
30分〜1時間くらい。
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