著…トーマス・ヘイガー 訳…久保美代子『歴史を変えた10の薬』
人が交易等のために移動すれば、人の体の細菌やウイルスもあちこちへ運ばれていく。
戦争があれば人々が傷を負い、治療を必要とする。
だから、人の歴史はまさに薬の歴史でもある…ということがよく分かる本です。
わたしはこの本でまずアヘンが紹介されていることに衝撃を受けました。
アヘンというと「違法薬物」「中毒死を招く」という悪いイメージしか無かったので。
元々、アヘンは娯楽用というよりも、儀式用や痛み止めとしても使われていたそうです。
人間は歴史上、
●ミイラの一部
●粉末にした真珠
●乾燥させたトラの糞
といった意外な物も薬の原料に使っていたそう。
麻酔というものが存在しなかった頃は、アヘンは貴重な麻酔薬の一種だったのでしょう。
また、アヘンを加工して作られたのがモルヒネということなので、現代の医療にも大きく貢献しているのがアヘンなのでしょうね。
この本を読んでいると、つくづく「毒を以て毒を制す」とか「多すぎる薬は毒にもなる」といった言葉を思い出します。
同じものでも、量や使い方を守れば薬になるし、誤れば狂気や死を招く毒となる…。
どんなものも、どう使うかにかかっているのですね…。
また、この本には、薬をレイプや殺人などの犯罪に悪用する事例も紹介されています。
正しく使えばどんなに素晴らしいものでも、悪用すれば凶器に変わる。
恐ろしいことですね。
昔はヘロインが主に咳と呼吸障害の治療薬として売られていて「乳児にさえも安全」とされていた…というエピソードにもゾッとしました。
それは言うなれば、今「安全」とされているものも、いずれは「危険」とされる可能性があるということ。
どんなに周りの人が「大丈夫だよ」と言っているものでも、「…なんかやばい」と直感でピンとしたら、避けた方が無難ですね。
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