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作・絵…太田大八『かさ』

 文字のない、まさに「絵本」。

 主人公は、鮮やかな朱色の傘を差している幼い女の子。

 雨が降りしきる中、女の子は大人用の傘を持って外を歩いています。

 大切な人を駅まで迎えに行くために。

 文章が無い分、読み手が自由に想像を膨らませられます。

 雨の冷たさ。

 女の子と通り過ぎる人たちの賑やかな声。

 車のエンジン音。

 そして女の子の心情。

 ふとした日常の一コマだけれど、きっと宝物になるであろう思い出。

 とても優しい気持ちになれる絵本です。




 読んでいて、わたしはふと、わたしの好きな人のこともこんな風に誰かが迎えに来てくれるといいな…と思いました。

 実際に雨が降っている時もそうですが。

 心の中に雨が降っていて、不安で泣きたい気分の時も。

 誰かがあの人に傘をさしてくれるといいな、と思います。

 出来ればそれはわたしであって欲しいけれど…。

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