著…バーナード・ショー 訳…小田島恒志『ピグマリオン』
こんにちは。
映画『マイ・フェア・レディ』が好きな方におすすめの本をご紹介します。
この作品が原作だからです。
「どこ目ぇつけてやがんでぇ」などと荒い言葉遣いをして、身なりもひどく汚れていたけれど、将来はきちんとした仕事に就きたいと考えている貧しい娘イライザ。
少し会話をしただけで相手の訛りを分析し、相手がどこの出身かをピタリと言い当てるという優れた能力があるものの、誰に対しても分け隔てなく無礼なヒギンズ教授。
インドの方言を研究していて、裕福で、誰に対しても紳士的なピカリング大佐。
この本には、イライザがヒギンズ教授とピカリング大佐に出会い、多くのことを学び、たった半年で言葉遣いも見た目も振る舞いも気品溢れるレディへと成長を遂げる物語が書かれています。
戯曲形式なので台本のような感覚で読めます。
訳のテンポがとても良いので、登場人物たちの声や表情が自然と頭の中に浮かんできます。
例えば、「ぅぅぅうううぇぇぇええ!」と叫ぶイライザ、「逆らうようなら殴っても構わん」とメイドのミセス・ピアスにイライザを洗うよう指示するヒギンズ教授、呆れるミセス・ピアス、「そんな、無茶を言ってはいけません」となだめるピカリング大佐の様子が生き生きとイメージ出来ます。
また、イライザとヒギンズ教授の心の変化も伝わってきます。
イライザはレディへと成長する中で、自尊心というものを知り、自分のことを対等なひとりの人間だと認めて欲しいと思うようになります。
ヒギンズ教授はイライザが誰にも支配されないことに戸惑い、苛立ちます。
もしこの物語が単なるラブロマンスであれば、イライザとヒギンズ教授が結ばれてめでたしめでたし、になるのでしょうし、この物語を映画化した『マイ・フェア・レディ』のラストシーンではイライザとヒギンズ教授の恋の可能性が仄めかされていますが…、原作では生憎そうはいきません。
著者も「彫像のガラテアがみずからの創造主であるピグマリオンを本当に好きになることは決してない」と述べています。
その言葉が示す通り、この物語の後日譚には厳しい現実が描かれており、登場人物たちはそれぞれ悲喜こもごもの生活を送っています。
ピカリング大佐だけはイライザに最後まで過保護過ぎるくらい親切なままなので、わたしはピカリング大佐の優しさに終始癒されっぱなしでした。
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