著…キャサリン・マーコック 監訳…池上英洋『名画を見上げる 美しき天井画・天井装飾の世界』
大昔から人類は夢を描いてきました。
きっと神様は雲よりも高いところにいる、と。
けれど、人間がどんなに空を見上げても、天井世界を見ることは出来ません。
それが、どうでしょう。
壮麗且つ歴史ある美術館、教会、お城といった建築物の天井の中には、神話の世界を想像力豊かに描き込んだ作品もあります。
そういう芸術を見つめていると、まるで自分が天上世界と一体化したかのような感覚になって、ゾクゾク出来るのです。
これは、今まさに自分がそうした天井画を見上げて霊的体験をしているかのような気分を味わわせてくれる本。
格調高い解説文に読み応えがあり、そしてなんといっても、写真が大判なおかげで、世界各国の天井画や天井装飾の美しさをじっくり堪能できます。
だんだん、天井の装飾物が豪華な額縁のように見えてくることにもワクワクしてきます。
わたしは特に、イタリアの「サン・パンタロン教会」の天井画に圧倒されました。
ここに描かれているのは聖パンテレイモンの処刑。
タイトルは『聖パンテレイモンの殉教と神格化』。
画家はジャン・アントニオ・フミアーニ。
立体感が凄い!
天使たちが羽ばたく不吉な音や、人間の呻き声が今にも聴こえてきそう…。
恐ろしい光景なのに、つい見入ってしまいます。
うっかり作品の中に吸い込まれてしまわないようご用心。
〈こういう方におすすめ〉
目の保養を求めている方。
「壮麗な美術館や教会の床に寝転んで、天上画を見つめて、その世界観に好きなだけ酔いしれたい」という願望を抱いている方。
〈読書所要時間の目安〉
3時間くらい。
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