著…近藤史恵『たまごの旅人』
主人公に付き添ってもらいながら自分も海外旅行をしているような気分が味わえる小説。
ご当地グルメや観光名所についての描写を読むのが楽しいです。
主人公は海外旅行ツアーの添乗員。
ピカピカの新人です。
しかし、お客様たちからは驚くような文句や要求も出てきます。
例えば、
●「現地のトイレが汚い」とクレームを出される
●日本ほど水が豊かではない国で「食事の時のお茶が有料だ」と不満を訴えられる
●飛行機の中で、「添乗員さんの隣の人(ツアー参加者ではない完全なる部外者)に席を代わって欲しい」と求められる
などなど…。
主人公はまだそういう無茶振りにテンポ良く対応出来ないところがあります。
しかし、添乗員が新人だろうがベテランだろうが、お客様には関係ないこと。
主人公は、無理なものは無理だけど、応えられそうな要望には出来るだけ応えようと頑張ります。
その姿がとても好印象。
そんな主人公も、やがてコロナ禍の煽りを受けてしまいますが…。
辛い中にも前向きな気持ちのある作品で、読後感が爽やか。
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