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文…藤本智士 写真…浅田政志『アルバムのチカラ[増補版]』

 3.11や西日本豪雨といった災害で傷んでしまったアルバムを洗ってくれたボランティアさんたちや、綺麗になったアルバムを見た方たちの反応についてまとめた本。

 写真が持つぬくもりや雄弁さに気づかされます。

 まるでこの本そのものも一冊のアルバムのよう。


 ●写真の裏に番号を振る
 ●泥や汚れを洗い落とす
 ●写真を干す
  ※カビの状況によっては、写真を冷凍してカビの繁殖を遅らせる
 ●写真を仕分けして並べる

 といった丁寧な作業に頭が下がります。

 また、自分とゆかりのある写真を見つけた方の喜びの声にグッときます。

あっ! これうちだ。
あっ、俺だ! 俺だこれ、俺、俺。これ、俺。
あぁ〜良かった〜。ああ俺だ、俺。良かったー。
なにげに見たら、ほら、ここにうちの親父が写ってて。
これ誰かな、誰かのアルバムのひとコマだなぁなんて思って。
裏見たら、これ俺のじいさんなんですよ。

(文…藤本智士 写真…浅田政志『アルバムのチカラ[増補版]』P58から引用)


 きっとこの方は一言では言い表せない気持ちでいっぱいになったのだろうな…と思うと、わたしも胸が熱くなりました。

 誰かが撮ってくれた自分の写真も、自分が撮った誰かの写真も、かけがえのないものだと気付かされます。

 写る人、撮る人、プリントする人、修復する人、並べる人…。

 まるで、色んな人の手から手へリレーをしているみたい。

 そういえば…、データフォルダに入れたままの画像って、つい、永久に保存出来るような気がしてしまいますよね?

 しかし、データが壊れたり、記録媒体が古くなって対応機器が無くなったりして、画像を見られなくなってしまうこともあります。

 プリントした写真には、汚損や紛失といった恐れはあるものの、思い出を手に取って懐かしむことが出来るというメリットがあります。

 しかも、アルバムとしてまとめれば、それはこの世にたった一つしかない宝物を集めた宝箱にだってなります。

 わたしもこの本を読んだのをきっかけに、スマホの中にしかない画像データをプリントして、フォトフレームに飾ったり、アルバムにまとめたりしようと思います。



 〈こういう方におすすめ〉
 大切な写真があるのに、まだアルバム化していない方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間半くらい。

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