著…シェル・シルヴァスタイン 訳…ほんだきんいちろう『おおきな木』
愛ってなに?
と、心に一石を投じてくれる絵本。
この絵本が与えてくれる波紋は、心の中に長い時間をかけて少しずつ広がっていきます。
もしも自分が「木」だったら。
もしも自分が「男の子」だったら。
相手をどう愛しただろう?
こんなにも愛されて、どんなことを思っただろう?
と、わたしは人生のふとした折にこの絵本のことを思い出します。
相手の精神的成長を願って厳しく接するのが愛なのでしょうか?
それとも、相手が今望むものを全て与えてあげるのが愛なのでしょうか?
どちらも正解でしょうし、どちらも正解でないとも言えます。
愛にはいろんな形がありますね。
見返りを求めず、「男の子」の喜ぶことをしてあげたかった、おそらく大好きな「男の子」と一緒にいたいだけだったであろう「木」の無償の愛の美しさ。
それに比べて、「木」に依存し続けて、多くのものを与えてもらったけれど、何を手に入れても幸せを感じられない「男の子」の虚しさ。
両者の違いが印象的です。
「木」と「男の子」の姿は、自分がどんなことをしたとしても誰かを変えることは出来ないという事実に気づかせてくれます。
それでも「そばにいたい」と願ってしまう哀しさも。
最期に寄り添う相手がいるという幸福も。
この作品には賛否両論があり、「男の子」を恩知らずだと批判する人を見かけることも少なくないのですが、わたしは「自分も周りの人に対して実はこの男の子のようなことをしていないか?」と我が身を振り返りたいです。
〈こういう方におすすめ〉
子どもの頃だけでなく、大人になってからも長く読み続けることが出来る絵本をお探しの方。
〈読書所要時間の目安〉
15分くらい。
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