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著…夢野久作 絵…ホノジロトヲジ『瓶詰地獄』

 相思相愛であるが故の苦しみ。

 それを書簡形式で描いた小説です。

 好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思いますが、わたしはこの作品の登場人物たちの葛藤が好きです。

 これもまた一つの恋の形ですから…。

 たとえ禁じられていたとしても…。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。




 物語は、三つの麦酒瓶が発見されるところから始まります。

 「第一の瓶」

 「第二の瓶」

 「第三の瓶」

 瓶の中にはそれぞれ、手紙(手記とも言えます)が入っていました。

 その内容はどれも違っています。

 書かれた時期が異なるからです。

 読み解いていくと、そこには恋の喜びと嘆きが綴られているのでした。

 決して結ばれることを許されない男女。

 その二人が、幸か不幸か、無人島に流れ着いてしまったからです。

 島での暮らしは、天国でもあり、地獄でもあった。

 自分たちがお互い寄せる想いは、許されないもの。

 二人ともそれが分かっているから、今は恋心をなんとか理性で抑えこんではいます。

 けれど、いつか堪えきれなくなるのではないかとおそろしい。

 かと言って、どちらかが先に死んでしまったなら、残された方は深い悲しみを与えることになる…。

 …手紙にはそんな激しい葛藤が記されていました。

 「第一の瓶」に、

 神様からも人間からも救われ得ぬ
 哀しき二人より

(著…夢野久作 絵…ホノジロトヲジ『瓶詰地獄』P12から引用)


 と書かれているので、結局二人の間に何が起きたかは、想像に難くありません。

 なんて幸福で残酷な物語…。



 〈こういう方におすすめ〉
 禁断の恋を描いた小説を読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 三十分〜一時間くらい。

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