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著…羽生結弦『蒼い炎』
こんばんは。
今から約10年前に羽生結弦選手が語った、これからのスケート人生への不安と期待が伝わってくる本をご紹介します。
表情にはまだどこかあどけなさが残りますが、闘志がメラメラと燃えています。
自分の目指す演技をとことん極めようと挑み続ける姿に心を動かされます。
仲の良い選手、ライバル視している選手、憧れの大先輩の名前も次々と登場。
選手同士の絆がとても強いことが伝わってきます。
また、3.11当日の衝撃、そしてその後の葛藤についても書かれています。
「本当に、怖かったです。揺れてる音が尋常じゃなくて、この世のものとは思えなかった」
「そしてびっくりしたのは、次の日です。僕はてっきり、被害に遭ったのは内陸だけだと思ってた。朝、新聞が避難所に届いた時に、本当は何が起きているかをやっと知ったんです。その日から、避難所で4日間--何もすることがないので、天井をぼけーっと見ながら、いろいろなことを考えていました。『もう、スケートなんてやってる場合じゃない』『いや、こんな状況でやっていいものじゃない』『というかもう、スケートなんてやらなくていいんじゃないか?』と」
想像を絶するショックですよね…。
羽生結弦選手といえば不屈の精神の持ち主というイメージがありますが、生身の人間。
インタビューを受ける立場である以上、心境を話すことになるけれど、本当は口に出すのも辛かっただろうな…と思います。
話す時は、思い出さないといけないから…。
仙台のリンクが壊れてしまったので、東神奈川のリンクで練習を再開したけれど、10日も滑れずにいたためジャンプが全然跳べなくなっていた時の絶望感や、
「地震からしばらくの間は、目をつむるとあの時の光景が全部浮かんでくるようになってしまった…」
と苦しい胸の内を語るくだりも、読んでいて言葉では言い表せない気分になりました。
3.11は忘れてはいけないことだけれど、本当は忘れたい、でも忘れられないし、やっぱり忘れてはいけない…という心の痛みが伝わってきます。
羽生結弦選手は「東北復興のシンボル」として扱われたり、その強さがクローズアップされがちですが、自身も被災者なのだということに気づかされます。
複雑に深く深く刻まれてしまった心の傷。
それでも、
「『地震のなかで頑張った』『地震のせいで頑張れなかった』ではなく、普通の選手として、何も関係なく戦えるだけの力をつけたいんです」
という言葉通りに努力を重ね、好成績を出しながらもそこで慢心せず、更に練習を重ね、数々の大会に挑戦。
しかも、
「やっぱり一番かっこいいのは、全員がパーフェクトで、その中で勝つということ。そんな『本当の1位』の味を知りたいんです」
なんて物凄くかっこいいことを言う…。
どんどん高く高くのぼっていく羽生結弦選手のことを、わたしは心の底から尊敬しています。
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