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inagakijunya
著…ローズ・ジョージ 訳…大沢章子『トイレの話をしよう 世界65億人が抱える大問題』
その人がどんなトイレを使っているかを見れば裕福か貧乏か分かる、という本。
トイレという面から貧困問題について考えてみたい方におすすめ。
なお、世界人口は2022年12月現在は約80億人となっていますが、この本のタイトルにもある通り、この本が出版された当時は「65億人」だったようです。
そのため、以下のレビューは「65億人」当時に則って書いています。
裕福な人々は水洗トイレを使います。
整った下水設備を持っています。
排泄物は目に触れることもなく、すぐにどこかへ流れていきます。
水道の蛇口をひねれば清潔な水を使えます。
では、貧しい人々は?
線路脇など、トイレ以外の所で排泄することもあります。
排泄物は身の回りのあちこちで悪臭を放ちます。
排泄物の混じった水を飲んで、子どもたちが下痢で命を落とすこともあります。
この世界の26億人もの人々が、清潔なトイレのない暮らしをしています。
それを考えると、温かい便座や、お尻をぬるま湯で洗う機能を備え、自動的にフタが開いたり音楽を奏でたりするトイレまで使える日本人って、なんて贅沢なんでしょう!
INAXよ、TOTOよ、ありがとう!
また、
「適切な衛生設備をもつことができれば、病気にかかることも減り、仕事を休むこともなくなる。コレラや赤痢で子どもを亡くし、葬式代を支払うこともない。薬を飲むことも減り、国は、高額な病院医療を施さなくてすむぶん、経費を節約できる」
という文や、
「インド人がいちばん緊張するのは、通りや小麦畑で排泄するときに、片手でおしりを拭き、もう一方の手を使ってサリーで顔を隠しながら、その間ずっとあたりに潜む人影や覗きに来る者を警戒しなくてはいけないからだろう。野外排泄で被害を受けるのはたいてい女性で、それは、慎みのために暗がりで用を足そうとすると、どうしても性的暴行やヘビによる被害、疾病、感染症などの危険な目に遭いやすいからだ」
と書かれているのを読むと、世界中の誰もが安全なトイレを使える世の中になることを願わずにはいられません。
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