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著…稲泉連『宇宙から帰ってきた日本人 日本人宇宙飛行士全12人の証言』

 人生って本当に、何が起きるか分かりませんね。

  特に、はじめの秋山豊寛さんのインタビューにそれを強く感じます。

 秋山さんは、単にこの本の一番はじめに載っているというだけでなく、まさしく日本人初の宇宙飛行を行った方。

 しかも、もともと宇宙飛行士を目指していたわけではなく、もともとはTBSの社員。

 よく、漫画のあらすじなどで「ひょんなことから」といった表現を目にしますが、秋山さんはまさにひょんなことから「宇宙特派員」に選ばれました。

 民間人のジャーナリストとして。

 当初は毛利衛さんが日本人初の宇宙飛行を行うはずでしたが、チャレンジャー号の爆発事故によって、毛利さんの飛行が延期となり、秋山さんが「日本人で初めて宇宙へ行った人」になったそうです。

 順番の早い遅いに貴賤はありませんが、物凄い強運の持ち主ですよね!

 「テレビ屋として当然、やってみたい。手を挙げないという選択肢はなかった」
(P23から引用)

 という思いがあったそうですが、それにしたって命がけ!

 他の11名の日本人宇宙飛行士さんたちも様々な経歴の持ち主。

 目から鱗が何枚も落ちるような話がいくつも出てくるので、読んでいて圧倒されます。

 ●どちらが上でどちらが下かも分からない感覚

 ●「宇宙酔い」や「重力酔い」に対する人間の適応力

 ●宇宙空間に到達した時、細胞の一つ一つ、身体全体が懐かしがっている感覚になった

 といった話がどれもこれも、実際に宇宙へ行ったことのある方にしか出来ないものばかりで、とても刺激的。

 わたしはこの本を読んでいて、とても宇宙に惹かれると同時に、まずは地球を大事にしなければ…と気づかされました。

 やはり地球あっての地球人ですから。

 油井さんがおっしゃった、

 「明らかに地球を見て悲しい景色もあったし、複雑な思いに駆られる写真も撮りました。でも、国と国同士の話などは、いくらニュートラルであろうと心がけても誤解が生じるので、影響の大きさを自覚すればこそしなかったですね」
(P178から引用)

 という言葉も心に刺さりました…。

 宇宙飛行士がこういう残念な気持ちにならずに済む、あらゆる意味で美しい地球にしていきたいですよね…。

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