著…大野寿子『メイク・ア・ウィッシュの大野さん』
沢山の人たちの協力のおかげで、病気の子どもが笑顔になった。
そういうあたたかいエピソードを紹介している本。
この本を読むと、「わたしも誰かに優しい気持ちをお裾分けしたい」という気分になります。
⭐️単行本版
この本のはじめには、こんなエピソードが紹介されています。
病気の子どもが、憧れの日本人メジャーリーガーに会うだけでなく始球式も行うため、アメリカへ向かった。
けれど、乗り換えるはずの飛行機にチェックイン出来ず困ってしまった。
そんな時、アメリカ人のご夫婦がキャンセル待ちの順番を譲ってくれて、「すてきな夢をかなえてくださいね」というあたたかい言葉までくれた…。
…というエピソードです。
このご夫婦だって急いでいたかもしれないのに。
なんて素敵な方たち。
きっとこのご夫婦も「メイク・ア・ウィッシュ」の一員と言えるでしょうね。
さて、この本に載っている沢山のエピソードの中で、わたしが特に心を掴まれたのは、やはり、貴志真由子さんのエピソードです。
「X JAPANのhideに会いたい」。
そう願った貴志真由子さん。
その気持ちに応えたhideさん。
うまく話すこともままならない中、「2月から入院するんで、お手紙を書くので、返事をください」という真由子さんの言葉に、「うん、ダチだもんな」と指切りして約束したhideさん。
その約束は守られました。
hideさんは手紙をくれて、お見舞いに来てくれただけでなく、骨髄バンクにドナー登録し、コンサートでも骨髄バンクの活動への協力を呼びかけ、X JAPAN解散後も真由子さんとの交流を続けました。
真由子さんにとってhideさんが希望の光だったように、きっとhideさんにとっても真由子さんの存在は希望の光だったのでしょう。
1998年5月2日。
あの運命の日が訪れてしまったけれど…。
hideさんの急死後、「自殺か」「事故死か」と大騒ぎになり、その論争は今もなお続いているけれど、真実はhideさん本人にしか分からないことですし、自殺だとしても事故死だとしても、hideさんの命が失われたことがただただ悲しいです。
その後、真由子さんも2009年に亡くなられました。
もしも天国にライブハウスがあるのなら、きっと2人はそこに居るのだろうとわたしは勝手に思っています。
そこで沢山のミュージシャンたちと共にライブをやっているかもしれないな、と。
いつか向こうにいった時にそのライブに参戦するのが、わたしの夢の一つでもあります。
〈こういう方におすすめ〉
心あたたまる本を読みたい方。
〈読書所要時間の目安〉
2時間くらい。