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作…まつむらゆりこ 絵…小林マキ『はじまりはたき火 火とくらしてきたわたしたち』

 火が人間の歴史に与えた影響を学べる絵本です。

 もしかしたら、そもそも人間は「火があれば夜に獣が寄って来ない」とか「火があれば寒い日でもあたたかい」といった単純な理由でたき火を始めたのかもしれません。

 しかし、その火はやがて人間の暮らしを良くも悪くも大きく変えました。

 ●人間が火を使うようになる
 ●肉や器を焼けるようになる
 ●金属を使って様々な道具を作る
 ●燃料を求めて木々を伐採する
 ●更なる燃料を求めて石油を掘る

 といった歴史の流れも、この絵本の中で丁寧に描かれています。

 そうして地球の資源がどんどん減っていくのに、人間の数や一人ひとりが使うエネルギー量は増える一方だ…ということにも作中で警鐘が鳴らされています。

 わたしはこの絵本を読んでいて、『風の谷のナウシカ』に出てくる「多すぎる火は、何も生みやせん。火は森を一日で灰にする。水と風は100年かけて森を育てるんじゃ」というセリフを思い出しました。

 火は上手に使えれば便利なもの。

 しかし、使いこなせないほどの強い火を使おうと欲張るのは良くないですよね。

 欲を掻いて制御不能な力を持つのは危険だ…と多くの人が知れば、世の中は少し平和になるのではないか? とわたしは思っています。

 くれぐれも人類がギリシャ神話に出てくるパエトーンのような末路を辿ってしまわないように…。

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